日本皮膚科学会雑誌
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皮膚上皮性腫瘍における上皮線維所見について
久保 善一
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1961 年 71 巻 3 号 p. 252-

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抄録
表皮の細胞内に存在し,且つこれを貫通して,相隣接する細胞を恰も連結するかの様に走行する線維が存在する.これを上皮線維と呼ぶが,1892年Kromayerがその確実な染色方法を発表して以来,多数の研究者により追究されてきた.即ち,その染色方法を始めとして上皮線維系の構造乃至形態,或はその意義づけについては多くの研究者により論ぜられている所である.然し乍ら上皮線維系の構造,形態についてさえ,今日もなお十分明らかに記載され盡したとはいい難い.本邦においては,これに関する詳細な研究は殆どみられなかつたが,ごく最近森によつて正常皮膚並びに二,三の皮膚疾患における上皮線維についての業績が発表された.それとは全く無関係に,著者も亦主として各種の上皮性皮膚腫瘍において研究を行い,そこにみられる上皮線維につき比較檢討して幾多の所見を得た.著者の研究対象としたのは,僞上皮腫性増殖,老人性疣贅,黒色上皮腫(太田),基底細胞癌,レントゲン潰瘍,老人性角化腫,Bowen氏病,異型上皮腫及び有棘細胞癌である.
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© 1961 日本皮膚科学会
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