抄録
水疱形成は多くの皮膚疾患にみられる重要な症候の一つであり,その発生機転究明に関しては数多い業績があるにも拘わらず詳細は尚不明である.Leverは病因ならびに水疱の位置から水疱症を分類して両者を関係づけた.しかるにPercivalおよびHannayは天疱瘡,Duhring氏疱瘡状皮膚炎,多形滲出性紅斑の水疱について組織学的に検討を加えた結果,之等三症に於ては水疱は何れも表皮下にあり,水疱の位置には疾患特異性がないと述べ(Leverによれば前者は表皮内水疱であり,後三者は表皮下水疱である),Jarrettは蛍光顕微鏡による観察からDuhring氏疱瘡状皮膚炎の場合にもアカントリーゼがみられるとして,Civatteがアカントリーゼをもつて天疱瘡の特異所見とみなした意見に反対し,水疱の位置とその発生機転との関係に疑問を提出している.しかるにStuttgen,Stoughton,ProseおよびBareらの酵素学的検索は表皮内水疱と表皮下水疱の場合とで水疱内容液に含まれる酵素の種類およびその活性に差のあることを示しており,Beekは水疱内容蛋白分劃に差のあることを述べ,HerzbergおよびRohdeは組織培養に於て水疱内容液を培地に添加することにより観察される細胞溶解には水疱症の間に差のあることを認め,更にNieumeijerは偏光顕微鏡的に,Mianは位相差顕微鏡的に何れも疾患により所見の異なるのを観察した.