日本皮膚科学会雑誌
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皮膚疾患とニコチン酸代謝 第1篇 健康人に於けるニコチン酸代謝
原子 一郎
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1961 年 71 巻 3 号 p. 285-

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抄録

動物及び人体に於けるビタミンの重要性が認識されて以来,各種ビタミンに就いての実験乃至臨床的研究が進められ,今日まで幾多の業績が輩出している.然しながら各種ビタミンの体内に於ける代謝の過程は,複雑多岐にわたり未だ充分に解明されているといい難い.特に抗ペラグラ因子として知られているビタミンB群の一つであるニコチン酸(以下NiAと略す)に就いての研究は,内外に於いて比較的少ない.偖て,本邦に於いてはKonig反応に基くNiA測定法が藤田,能勢,川島,桂・榊田,永山等によつて検討され,実用に供されたが,人体或いは動物の血中及び尿中NiA或いはその誘導体乃至代謝産物を系統的に測定したのは,榊田,苫米地,藤垣,田中及び茂木等を挙げ得るに過ぎない.この間皮膚科領域に於いては,血中のPyridine nukleotideと尿中のN'-MethyInicotinamide(NMA)の測定を主とした藤垣の報告をみるのみである.私は各種皮膚疾患患者の血中及び尿中NiAの変動を,主としてNiA負荷により追及し,その代謝の一端を知ろうとしたが,ここでは先ず,健康人に就いて,血中及び尿中NiAを測定して,季節的変動及び日内変動,更にNiA負荷による経時的変動等を併せて観察し,若干の知見を得たので報告する.

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© 1961 日本皮膚科学会
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