抄録
尿酸は,近年各科領域にわたつて注目されている核酸代謝の人類に於ける終末産物であり,主として細胞核蛋白よりプリン体を経て生成されることは周知の所である.元来,尿酸は食餌に影響される外因性尿酸と体内組織分解に基く内因性尿酸とに分けられるが,何れにしても肝,腎,脾,腸管等の諸臓器がその生成・分解の場と考えられ,代謝の過程に於いては各種の酵素,内分泌,自律神経系が関與し,各種物質代謝と密接な関係を有していることは言を俟たない.扨て,過量の尿酸は赤血球を破壊し,血色素量を低下させ,又汗腺よりの排泄増加により皮膚に瘙感を與えることも指摘されており,山碕は尿酸を一種の起痒性物質と看做しているが,Kromyerは疾患の内因として所謂尿酸性体質を擧げ,その最初の徴候は皮膚に現われるとし,痛風と濕疹とは密接な関係にあり,濕疹様変化に際して血清尿酸が上昇することは諸家により注目されている.又最近Bloch and Johnsonは尿酸の直接の前段階であるxanthineに働くxanthine oxidaseが皮膚に於いても20%に含まれていることを証明し,皮膚に於ける尿酸の生成を示唆した.依つて著者は尿酸代謝障碍の皮膚疾患に対する意義を明らかにするため二,三の実驗を行ない,若干の知見を得たので以下に報告する.