日本皮膚科学会雑誌
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皮膚科領域に於けるAndrogen-Estrogen Balanceの問題
六車 勇二
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1961 年 71 巻 5 号 p. 534-

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抄録

Womack-Koch(1932)が男女共にandrogen,estrogenを分泌することを見出して以来,この両者の体内に於ける不均衡が各種病変を惹起する要約の一つではなかろうかという解釈が行なわれるようになり,皮膚科領域に於いてもRosenthal,McCurthyを始めWile-Snow-Bradburg,Lawrence-Werthessen等が尋常性座瘡に就いてこの課題をとりあげ,更に1953年にはAron-Brunetiereがandrogen,estrogenの外にprogesteroneをもとりあげていることは既に衆知の通りである.然し皮膚科領域に於けるかゝる方向への研究は今日迄専ら尋常性痤瘡に限られ,広く色々の皮膚疾患に就いての検討は洋の東西を問わず全く行なわれていないと云つてもよい.僅かに岩下が川岸と共にこの問題をとりあげ,その詳細が川岸により発表されているに過ぎない.そこで余は,元来病因の明らかにされていない疾患を単に症候的に一つの体系に系統づけている現在の皮膚科学に於ける大きな分野にとつて,かゝる方向への検討も決して徒爾ではないと考え,さきに発表された川岸の業績を更に補足敷衍すると共に,各種治療剤のandrogen-estrogen balanceに及ぼす影響を追究し,ここに聊か知見を加え得たので以下それらに就いて記述しようと思う.

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© 1961 日本皮膚科学会
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