日本皮膚科学会雑誌
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人皮下脂肪組織の代謝―特に脂肪酸生合成におよぼす因子について―
内田 俊夫
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1964 年 74 巻 4 号 p. 227-

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抄録

1940年WellsはAdipose Tissue,a Neglected Subjectと題する論文のなかで,脂肪組織は単に脂肪を貯蔵する結合組織ではなくて,他の機能をもつた特別な器官であり,疾患の際にある役割を演ずるかもしれないと述べ,体内器官のなかで最も大きなものの1つと考えられる脂肪組織の活性や疾患にたいして,病理学者は勿論,生理学者も,もつと多くの考慮をむけるべきであると述べた.その後約20年間の研究によつて,Wellsの指摘したように,脂肪組織は脂肪を蓄積する他に,合成,酸化および脂肪の遊離という活性ある代謝をおこなう特別な構造をもつた組織であることが明らかとなつた.皮膚科方面では幾多皮下脂肪組織病変があるに拘らず,この組織病変の研究は進んでおらず,不明な点が多い.この点に著目して著者らは先にこの組織の基礎的な研究として人皮下脂肪組織の呼吸を取上げたが,今回はglucose-U-C14を使用して糖質からの脂肪酸生合成の実験,および,insulin,epinephrine,cortisolがこの脂肪駿生合成におよぼす影響について観察したので報告する.

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© 1964 日本皮膚科学会
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