抄録
Striae atrophicae(線状萎縮症)はStriae albicans又はStriae distensaeともいわれ,妊婦(Striae gravidarum,第1,2図),肥満症,思春期(第3,4図),Cushing's Syndrome,長期大量の副腎皮質ホルモン全身投与(第5,6図)或いは感染の際に見られるものであるが,その発生原因を大部分の文献は弾力線維の断裂,減少又は消失を伴う皮膚過度伸展によるものとしている.しかしながら一部の学者は巨大腹部腫瘍或いは脱腸,腹水などの患者に必ずしも線状萎縮の見られないことから,皮膚過度伸展以外に他の因子が存在し,一方,副腎皮質ホルモン又はACTHの長期投与後に,或いはCushing's Syndromeに見られることから,脳下垂体―副腎皮質系統のホルモンがその発生に関与すると考えた.最近Thron,HollanderによつてHydrocortisoneに局所治療効果のあることが確かめられ,皮膚科領域では軟膏療法,又は局所注射療法に応用されるようになつた.即ちGoldmanは最初に局所注射療法を始め,湿疹様変化,乾癬,扁平苔癬,黄色腫,帯状鞏皮症,神経性皮膚炎,アトピー性皮膚炎,類肉腫,リウマチ性結節,環状肉芽腫,ケロイド,円板状紅斑性狼瘡,類乾癬,陰茎象皮症,昆虫刺螫症,ダリエー氏病に有効であることを報じた.この際,病巣一部に局注をくりかえすとその部のみ治癒し,その部位は病巣中に明瞭に境界され,さらにその部位が周囲皮膚より陥没萎縮し,その局所に不溶性結晶が沈着するのを認めた.これは一過性で5ヵ月以内に正常に復したという. 又副作用として1000例中2例において注射部位が化膿し,帯状鞏化症の1例に壊死を起こしたと報告している.日本では小堀が最初にその治療効果を発表し,限局性慢性湿疹,ヴイダール氏苔癬,固定蕁麻疹,帯状鞏皮症などに著効を認め,皮疹の治癒と共に皮膚の萎縮をみたが,これは永久的なものでなく2~5ヵ月で消失したという.その後小堀,今北,石田,野口,加島,古谷,佐藤,塚田,Benjumin,Savitt,Gombiner,Berger,Asboe-Hausen,Kalkoff,OrentreichなどによつてHydrocortisoneの局所注射の治療効果が報告されている.著者はHydrocortisone の局所作用による皮膚萎縮に着目し,実験的に人体正常皮膚にHydrocortisoneを局注