抄録
水疱性類天疱瘡は1953年Leverにより初めて記載されたが,それまでドイツ学派ではPemphigus vulgaris,フランス学派ではDermatitis herpetiformisの一異型とされていたものである.その後,各国でこの疾患名は受け入れられつつあるが,Prakken & WoerdemannはParapemphigus,SteiglederはAlterspemphigusとした.水疱性類天疱瘡では病理組織学的にacantholysisを欠くため天疱瘡群との区別はそれほど困難ではないが,表皮下水疱群,とくにジューリング疱疹状皮膚炎との鑑別に問題を残している.水疱性類天疱瘡およびジューリング疱疹状皮膚炎の病理組織学的所見は諸家の研究により発表されているが,確かな診断基準とはなつていない.ここで,著者は上記2疾患の病理組織学的所見の特徴を,水疱蓋,水疱内容,水疱底,真皮の浸潤細胞および血管の変化などと,水疱の状態を初期像,水疱完成期,表皮再生期に分けて光学顕微鏡で観察した.また電子顕微鏡では,水疱,表皮下小空胞の周辺部および水疱形成をみない部の表皮細胞およびその細胞内小器官,表皮真皮接合部および真皮最上層部などを観察し,2疾患以外の水疱症とも文献的考察を行なつたので,その相違および水疱形成機転についてのべる.