日本皮膚科学会雑誌
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病変皮膚に於ける神経の病理形態学的研究 ―殊に慢性瘙性皮膚疾患を中心として―
石原 文之
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1969 年 79 巻 1 号 p. 19-

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抄録

皮膚病変のなかにはその組織学的検索に際して明らかに神経の形態的変化を認めるものが知られているが,かかる神経の変化と皮膚病変との因果関係は今なお充分明らかにされていない.しかもかかる神経の変化は,多くはその個有の病変に続発した二次的変化と考えられているのが普通であるが,一方,F. Johnの汎発性鞏皮症に於ける神経の研究に見るような末梢の神経変化が,当該疾患の病変に先行するという,言い換えれば神経の変化が第一義的な発症要因としての役割を果す場合がしばしば問題となるところである.また結節性痒疹(Prurigo nodularis, Hyde)についても古くはPautrier(1934)によつて真皮上層の神経肥厚がNeuroma-like hyperplasiaとして記載され,その後多くの学者の検討によつてこの所見が本疾患に於ける1つの特異な所見と考えられた.しかしPautrierらによるtrichromique de Massonによる方法では染色が主として脳脊髄神経に偏し,しかも神経の微細な変化を追及することは困難であるとの批判があり,最近ThiesはBielschowsky-Groβ鍍銀法を使用しての検索から,該変化はprurigo nodularis, Hydeの病変に第一義的な現象でなく,高度の慢性病変に由来する二次的変化であろうと述べている.即ちこうした末梢神経の変化を追及する場合,その検索に用いる染色法の選択は先ず第1に大きな問題である.近時,Maillet(1959)はOsmium zink-Jodid-komplexを用いてChampyのオスミウムヨード法の変法を行ない,従来のChampy法より安定した方法で微細な末梢神経

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