日本皮膚科学会雑誌
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表皮組織学的所見における部位的差異
小田切 久夫
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1969 年 79 巻 2 号 p. 132-

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抄録
人体皮膚の組織学的構造に関しては古くより多数の報告がみられ,就中特異な細胞構成を持つ表皮についてのそれは多く,多岐微細に種々の事象が解明されている.この場合,一般に表皮組織として述べられている場合が多いが,またその構造に関しての人種別,年令別,性別,部位別等についても種々の記載がみられる.殊に,部位的な差異については,我々皮膚科学を修めるものには日常の皮膚病理組織標本の検討に際して,経験上,その大要については種々知ることがあるが,さてその正常と異常との境界に関して,厳密な意味で区別するという点になると不明瞭な点が多い.また事実,表皮は人体の外被であるため,光線,湿度,温度,被服,化粧料等の種々な物理的,化学的因子の直接の影響下に置かれており,またその個人差が種々であるので,たとえ同一部位であつても,その正常範囲にも種々の点で差異が考えられること等より,興味ある問題の一つではあるが,現在までにこの点に関する研究はあまり多くは行なわれていない.著者は本邦成人の健常皮膚において,その表皮において種々の観点より計測,観察,比較を行ない,所謂健常皮膚の,主として部位的な差異について考察を行なつた.
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© 1969 日本皮膚科学会
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