日本皮膚科学会雑誌
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皮膚における5-Nucleotidase活性の組織化学的研究
福井 清美三浦 祐晶
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1969 年 79 巻 3 号 p. 171-

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抄録

1923年Robisonがラッテの実験的クル病の骨におけるalkaline phosphataseについて組織化学的検索を行ない,予備カルシウム沈着帯の軟骨細胞には強い着染を認めるが,増殖しつつある軟骨は染色されないと報告したが,これがphosphatase活性の組織内分布を可視的手段,換言すれば顕微鏡的組織化学的検索を行なつた嚆矢である.Robisonは切片を硝酸銀で処置したのち,calcium hexose monophosphate基質液に浸漬することにより証明したのであるが,1939年Gomoriおよび高松がRobison法を改良し,いわゆる金属塩法を確立するにおよんで組織化学的研究は急速な発展を遂げて来た.爾来,alkaline phosphatase,acid phosphataseなど非特異的phosphataseに関する組織化学的研究は,皮膚科領域においても枚挙にいとまがない程多くの報告に接するが,特異的phosphataseの一つである5-Nucleotidase活性の組織内分布に関する検索は皮膚組織については武内,木下が正常人体皮膚,富尾がイエウサギの正常皮膚ならびにクロトン油皮膚炎について,Spier & Martinは正常人体皮膚,Wohlrabが乾癬病巣ならびにその周囲の皮膚における所見を発表しているにすぎない.著者は,成人正常皮膚ならびに病的皮膚における5-Nucleotidase活性の変動を検索し,若干の知見を得たので報告する.

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© 1969 日本皮膚科学会
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