抄録
最近真菌学の分野においても,電子顕微鏡を用ちいた研究の増加は目覚ましいものがあり,医真菌学の部門においても,同様に,数多くの業績が発表されている.そして,真菌の微細構造が,他の動植物細胞との比較の上に,解明されつつあるが,これらの研究の多くは,培養時における真菌の微細構造についてのものであり,寄生時における菌の形態,周囲の反応などに関しての報告は数すくなく,さらに,寄生時と培養時における形態の差異を比較したものは,ほとんど見られないようである.今回著者は,黒色真菌Phialophora verrucoseにより,頚部の転移性リンパ節炎を起こした1症例に遭遇し,その組織学的所見,菌の形態などについて,一連の電子顕微鏡による検索を行なうことができた.この報告においては,リンパ節病変について,菌の生態を主とした,電顕による検索の結果を報告する.