昭和40年3月より41年5月にわたる東大皮膚科と関連5病院皮膚科の貼布試験に関する基礎的協同研究により49種の抗原の基剤と至適濃度が決められ,さらに爾後の研究の基礎として,陽性率と欧米文献をもとに24種の抗原を東大皮膚科の貼布試験標準系列として仮りに決めたことは既報の通りである.この研究をスタートとして東大皮膚科専門外来では昭和41年6月以降逐時50種をこえる抗原の基剤と至適濃度をきめ,100種をこえる抗原を準備して湿疹・皮膚炎患者を対象に標準系列を主体にして貼布試験を行なつてきた.もちろん標準系列は臨床経験の積重ねにより取捨選択され研究の必要からいれられたものを加え,大幅に変つている.昭和44年7月までの3年2ヵ月間に貼布試験の実施例数は1,356例となり,アレルギー性接触皮膚炎と証明されたものは287例,314件に及んだのでこの間の成績をまとめて報告することとした.以下われわれの行なつている貼布試験の方法,証明されたアレルギー性接触皮膚炎の内訳,成績よりみた貼布試験の意義,臨床的価値について記述する.