抄録
Darier (D) 病における表皮内の acantholysis の本態や,その発生機序を解明する目的で,典型的な2人の D 病患者につき,病変部表皮の explant culture を試み,同時に培養した正常人のそれとを比較し次の結果を得た. 1.培養組織原片からの表皮細胞の選出は,D病,正常人とも培養約48時間後から顕微鏡下に認められる. 2.D病におけるそれら遊出表皮細胞の多くは,解離性が強く,個々の細胞は隆起し,正常人に見られるような扁平なシートの形成を示さない. 3.D 病表皮細胞は,培養早期から球形を示す細胞の出現が顕著で,随所で特異な集塊を形成する. 4.D 病表皮細胞は培養8日目頃から,解離傾向が特に顕著で,バラバラとなり dish 面に拡散する.以上の所見は, Hailey-Hailey 病培養表皮細胞の示す動態と identical であり,両疾患における表皮細胞の組織化力の低下,移動能の亢進を示唆し,表皮内における acantholysisは,この病態の組織レベルでの一表現と考えた.