汎発性鞏皮症(以下PSS)患者の前腕伸側の皮膚に於ける硬化の程度を臨床的に軽度,中等度及び高度硬化部の3群に分け,それぞれの病巣皮膚を試料として電顕で検索し,真皮上層の毛細リンパ管について観察した.その結果,軽度硬化部ではリンパのリンパ管内貯溜,中等度硬化部ではリンパのリンパ管内より管外への逆流,高度硬化部ではそのリンパ管内皮細胞の著明な変性,崩壊の像が認められた.この様に毛細リンパ管は皮膚の硬化の程度に対応した一連の変化を示したが,この変化はリンパ管周囲組織の硬化による二次的な変化と考えられる.