日本皮膚科学会雑誌
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皮膚筋炎における骨格筋病変の経時的観察 -特に骨格筋線維の修復について-
吉江 治彦
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1980 年 90 巻 3 号 p. 255-

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抄録

副腎皮質ステロイド剤治療がなされた皮膚筋炎14例 (軽快9例,死亡5例)について,経時的に同一骨格筋の組織検査を施行し,光顕的,電顕的所見を血清酵素値や骨格筋症状の推移と対比しながら検討し,次のような結果を得た. 1.治療開始前の生検における筋線維の変性程度は,血清酵素値や骨格筋症状の重症度とおおむね相関していた.軽快例では,治療により臨床症状の改善が得られた時期にも,筋線維の変性は存続することが多かった,死亡例では治療効果が得られず,末期において筋線維の変性程度は増悪傾向を示した. 2.筋線維の再生現象は,筋病変が回復しているか否かによって異なっていた.軽快例の治療前,死亡例の治療前や末期のようにたとえ回復しない時期でも,筋線維の変性が高度な場合は,再生筋線維と筋芽細胞が出現していた.他方,軽快例の治療開始後のように臨床的改善が進行している時期には,筋線維の変性程度とは無関係に,筋衛星細胞の増加と再生筋線維の出現がみられた. 3,筋線維の核とその周辺筋形質の形態的変化,さらに糸粒体やグリコーゲンの増加も骨格筋修復の表現と考えられる.

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© 1980 日本皮膚科学会
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