日本皮膚科学会雑誌
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メルケル細胞の電顕的研究(Ⅲ) -特に胎生20日ラットのメルケル細胞について-
落合 豊子鈴木 啓之
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1981 年 91 巻 1 号 p. 7-

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抄録
胎生20日のSDラット指腹皮膚を用い,メルケル紅胞を電顕的ならびに形態計測的に観察し,更に幼若期ラットのメルケル細胞と比較検討を加えた.胎生20日ですでにメルケル細胞は表皮基底層あるいはその直士.層に存在することが認められた.それらの細胞は明るい細胞質と切れこみの多い核を持ち,周囲のケラチノサイトとはデスモゾームにより接着する.細胞質には繊毛,中等度に発達したゴルジ装昿細線維を認め,直径1,070±360Åのメルケル細胞顆粒が少数孤立性に散在する.しかしながら観察し得た15個のメルケル細胞のうち軸索の付着したメルケル細胞は認められなかった.胎生20日のメルケル細胞を生後2日(交配後24日)のメルケル細胞と比較すると胎生20日のメルケル細胞の方が細胞質,核,穎粒ともに大型であった,また単位面積当りのメルケル細胞顆粒数は加齢とともに増加する.胎生20日では English15)16)17)の記載している transitional cell も観察され,この細胞が軸索の付着なしで表皮内に存在しうる可能性が示唆された.この細胞の起源はまだわからないが,今回の研究からはどちらかといえば上皮性細胞由来を想像させるようである.
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© 1981 日本皮膚科学会
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