1981 年 91 巻 6 号 p. 667-
白色斑と疣状丘疹とが併発した列序性母斑の5歳男子例を報告した.白色斑部と疣状丘疹部のいずれにも願粒変性がみとめられた.電顕的にも両部位のケラチノサイトの変化は同一の所見を呈し,両皮疹とも同一の基盤に立つ疾患と思われる.主たる変化は細胞の浮腫性膨化,トノフィラメント東の凝塊形成,球形ならびに粗大ケラトヒアリン顆粒の出現である.メラノサイトにはメラニン産生能の存在が示唆された.両皮疹部の真皮にはメラニン貪食細胞がみられ,メラノソームの転送に障害があるように思われる.白色斑部ではケラチノサイト内メラノソームが豊富であるが,一方疣状丘疹部ではそれが殆んど認められなかった.これは両皮疹部におけるケラチノサイトの活動能の差によるのであろうと推論した.