エックリンらせん腫の2症例からえた手術材料を電子顕徴鏡的に観察した.腫瘍実質は上皮細胞,筋上皮細胞,非上皮性細胞から構成される.上皮細胞の構築はエックリン導管部のそれに近いが,エックリン汗腺分泌部および移行部への形態分化像は明らかでない.筋上皮細胞は定型的形状のものから上皮細胞との細胞鑑別が因難なものまでがみられる.実質にはリンパ球,組織球,Langerhans細胞が存在し,変性した上皮細胞と誤認されやすい.腫瘍間質では神経線維が豊富で,本症の有痛性が神経線維と間質構造に関連する可能性が示唆された.