日本皮膚科学会雑誌
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悪性青色母斑の1例
佐藤 敬子影下 登志郎小野 友道荒尾 龍喜
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1985 年 95 巻 13 号 p. 1461-

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抄録

悪性青色母斑(MBN)は,極めてまれな悪性腫瘍で,Allenら(1953)が6例報告して以来,現在まで30例が報告されたに過ぎない.今回我々は,23歳男性のMBN例を経験した.出生時より左耳介後面から左側頭部に青黒色斑が存在,12歳時より帽針頭大小結節が多数出現し,22歳時その中の1個が急速に鳩卵大腫瘤に増大した.組織学的には,青黒色斑,小結節,及び急速に増大した鳩卵大腫瘤が,それぞれ普通型青色母斑(Com.BN),細胞増殖性青色母斑(Cel.BN),MBNの像を示し,また電顕でMBNの腫瘍細胞は多数の脂肪滴を有しているのが特徴的であった.さらに,抗ヒトメラノーマモノクローナル抗体による免疫組織学的検討を行い,類円形や楕円形の腫瘍細胞が胞巣を形成してる部位では,主に細胞膜に一致した特異蛍光が認められた.併せて自験例を含め,現在まで報告されたMBN31例について,若干の文献的考察を行った.

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© 1985 日本皮膚科学会
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