日本皮膚科学会雑誌
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95 巻, 13 号
選択された号の論文の11件中1~11を表示しています
  • 広瀬 寮二
    1985 年 95 巻 13 号 p. 1423-
    発行日: 1985年
    公開日: 2014/08/20
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    Vitamin Aの発癌抑制作用をマウス皮膚に対する化学発癌剤20-methylcholanthreneの効果で観察した.すなわち,d-d系白色マウスに20-methylcholanthreneを作用させるとともに,retinol palmitateの外用,aromatic retinoidの内服をそれぞれ別の動物群に行ない,発癌状況およびその過程における組織学的変化を検討した.その結果,vitamin Aのいずれの方法による併用においても発癌率の明らかな低下と発癌遅延を認めた.また,組織学的には20-methylecholanthrene単独塗布群では表皮の炎症期,肥厚期につづいて腫瘍期がみられるのに対して,20-methylcholanthreneとvitamin A併用群では,肥厚期が持続するも腫瘍期への移行はほとんどみられないことが明らかとなった.
  • 広瀬 寮二
    1985 年 95 巻 13 号 p. 1433-
    発行日: 1985年
    公開日: 2014/08/20
    ジャーナル 認証あり
    局所投与の20-methylcholanthreneによるマウス皮膚癌の発生に対するvitamin Aの抑制効果を電顕的に検討した.その結果,vitamin Aと20-methylcholanthreneを局所的に併用することにより6週間後,表皮細胞の著名な解離現象とともに,desmosome-tonofilament complexの減少が認められた.またハV腫状に拡張したrough-surfaced endoplasmic reticulumの増加と多数のribosomeの出現がみられ,mitochondria内にinclusion bodyを有するものも認められた.8週目に生じた腫瘍ではdesmosomeが不明瞭となり,tonofilamentはほとんど消失していた.一方,20-methylcholanthrene単独塗布により生じた腫瘍では対照的にdesmosome-tonofilament complexは比較的多量にみられ,細胞解離現象は示さなかった.したがってvitamin Aを作用させることにより表皮細胞が角化傾向の乏しい腺細胞様となり,20-methylcholanthreneの発癌作用を受けにくくなるのではないかと考えられた.
  • 早川 律子, 松永 佳世子, 小嶋 茂雄, 鹿庭 正昭, 中村 晃忠
    1985 年 95 巻 13 号 p. 1441-
    発行日: 1985年
    公開日: 2014/08/20
    ジャーナル 認証あり
    我々は既に日用家庭用品による皮膚障害の原因として家庭用化学製品とともに衣料品についても報告し来た.しかし衣料品のなかでも寝間着による皮膚障害例は少なく,昭和54年5月1日から57年3月31日迄の厚生省家庭用品に係る健康被害病院モニター報告でも2例の報告を見るにすぎない.今回我々はネル寝間着による色素沈着型接触皮膚炎の患者を経験し,その原因化学物質を同定し得たので報告する.
  • 山本 泉
    1985 年 95 巻 13 号 p. 1447-
    発行日: 1985年
    公開日: 2014/08/20
    ジャーナル 認証あり
    白癬に罹患した人や動物から環境的に白癬菌が散布されることは知られているが,罹患個体の病変の推移と環境から分離できる白癬菌量との関係は,検討されていない.また,環境からの白癬菌の分離は,公共施設や集団生活の場では試みられているが,家庭環境中の菌の存在についてはほとんど検討されていない.著者は,白癬患者の家庭の塵埃をアクチジオン・クロマイ加サブロー培地平板に散布培養し,Microsporum canis感染症患者の21家庭全てからM.canisを,M.canis以外の白癬菌による白癬患者の22家庭中10家庭から原因白癬菌を分離した.対照とした白癬のいない12家庭では病原白癬菌は全く分離しなかった.塵埃から分離された菌量は分離係数で表わし,各家庭の塵埃中の菌量を比較し,また治療による菌量の変動も検討した.M.canis感染症患者家庭では,広汎な頭部白癬(ケルスス禿瘡)または病猫の存在時には,治療初期に分離係数は高いが,罹患個体の病変の軽快にともない,係数は急速に減少し,最終的に64日~114日で分離されなくなった.患者の病変が軽快しても,病猫の治療が不成功の場合には,係数は高いままで減少しない.家族内感染の有無により,治療初期の分離係数に差をみとめた.訪問調査では,絨毯などから直接に菌を分離できた.Trichophyton rubrumとTrichophyton mentagrophytesによる生毛部白癬や足白癬の患者の家庭塵埃からも原因菌が分離できるが,分離成功率はM.canis感染症に比し低率であった.この場合も分離係数は治療により低下,消失する.塵埃からの白癬菌の分離は,罹患した人や動物がその病変の状態によって家庭環境中にどの程度の菌を散布しているかを示す示標となると考える.
  • 佐藤 敬子, 影下 登志郎, 小野 友道, 荒尾 龍喜
    1985 年 95 巻 13 号 p. 1461-
    発行日: 1985年
    公開日: 2014/08/20
    ジャーナル 認証あり
    悪性青色母斑(MBN)は,極めてまれな悪性腫瘍で,Allenら(1953)が6例報告して以来,現在まで30例が報告されたに過ぎない.今回我々は,23歳男性のMBN例を経験した.出生時より左耳介後面から左側頭部に青黒色斑が存在,12歳時より帽針頭大小結節が多数出現し,22歳時その中の1個が急速に鳩卵大腫瘤に増大した.組織学的には,青黒色斑,小結節,及び急速に増大した鳩卵大腫瘤が,それぞれ普通型青色母斑(Com.BN),細胞増殖性青色母斑(Cel.BN),MBNの像を示し,また電顕でMBNの腫瘍細胞は多数の脂肪滴を有しているのが特徴的であった.さらに,抗ヒトメラノーマモノクローナル抗体による免疫組織学的検討を行い,類円形や楕円形の腫瘍細胞が胞巣を形成してる部位では,主に細胞膜に一致した特異蛍光が認められた.併せて自験例を含め,現在まで報告されたMBN31例について,若干の文献的考察を行った.
  • 西村 正幸, 森戸 文隆, 幸田 弘, 中山 樹一郎, 旭 正一
    1985 年 95 巻 13 号 p. 1469-
    発行日: 1985年
    公開日: 2014/08/20
    ジャーナル 認証あり
    13人の男子尋常乾癬患者の血漿フィブロネクチン値を,抗原抗体反応を応用した紫外部濁度測定法(fixed time法)で測定し,年代,性の一致した10人の健康人対照のそれと比較した.患者群は対照群より有意に高く,さらに患者群の中でも臨床病状の高度なものにより高値を示す傾向がみられたが,Goeckerman療法で略治状態となった時点でも血漿フィブロネクチン値の低下はみとめられなかった.罹病期間と血漿フィブロネクチン値との間にも相関関係はみられなかった.
  • 工藤 清孝, 安藤 不二夫, 大橋 勝, 浅井 淳平
    1985 年 95 巻 13 号 p. 1473-
    発行日: 1985年
    公開日: 2014/08/20
    ジャーナル 認証あり
    NCマウスは特異な遺伝形質を有し,加齢に伴い自己抗体の出現,細胞性免疫能の低下が見られ,同時にかなりの頻度で顔面に対側性にSLE様皮疹の出現することが知られている所謂ループスマウスである.本マウスで観察されるSLE様皮疹の形成機序を解明する目的で,その皮疹部を病理組織学的に検討し,併せて細菌学的ならびに免疫組織化学的な検索をも行なった.その結果,1)皮疹は雌よりも雄に好発した.2)初期組織像では基底層の液状変性,表皮萎縮および真皮における小血管の拡張が特徴的であった.3)皮疹部よりの細菌培養で黄色ブドウ状球菌が検出された.4)抗黄色ブドウ状球菌抗体を用いた免疫組織化学的検索で,黄色ブドウ状球菌が潰瘍,びらん部およびその周辺の角層内に検出された.5)NCマウス全血清を用いた酵素抗体法による自己抗体の検索で,NCマウスの表皮細胞細胞質およびマウス由来のL細胞細胞質と一部の核が染色され,その血清中に自己抗体の存在が示唆された.6)免疫組織化学的に表皮角層内の菌体表面にIgGが検出された.以上の観察結果により,皮疹形成が自己抗体による表皮細胞障害に基くことが強く示唆されるとともに,細胞性免疫能の低下による黄色ブドウ状球菌の易感染性が,その皮膚病変の発症,その後の展開に深く関与していることが考えられた.
  • 小西 清隆, 水谷 仁, 谷口 芳記, 清水 正之, 康 龍男, 田中 公
    1985 年 95 巻 13 号 p. 1481-
    発行日: 1985年
    公開日: 2014/08/20
    ジャーナル 認証あり
    右大腿部の単発性・皮膚原発B細胞性悪性リンパ腫の1例を経験した.組織像はLSG分類の濾胞性リンパ腫,混合型であった.しかし濾胞構造は不完全で,一部では大型細胞が優位であり,びまん型への移行を思わせた.遊離腫瘍細胞の表面マーカー検査では,IgM・κ単独陽性,B1陽性等よりB細胞リンパ腫とした.血液生化学的に抗マイクロゾーム抗体,抗サイログロブリン抗体および抗SS-A抗体陽性であった.CT,シンチグラム等諸検査にて皮膚以外にリンパ節を含めて異常なく,腫瘤を全摘しCVP療法を2クール施行した.1年後の精査にて再発なく,皮膚原発の単発性B細胞性悪性リンパ腫と考えた.本邦では稀な症例であり,手術的に上皮性悪性腫瘍と同様早期に摘除する事が有効である事を示した.
  • 岡田 富雄, 松永 佳世子, 早川 律子
    1985 年 95 巻 13 号 p. 1487-
    発行日: 1985年
    公開日: 2014/08/20
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    モルモットを用いNaphthol ASおよびその合成過程に生成されるNaphthalene,2-hydroxy-3-naphthoic acid,2-naphtholの計4種の物質について感作試験を行った.その結果Naphthol ASに肉眼的,組織学的に陽性反応を示す例がみられたが,その割合は少なくNaphthol ASの感作能は微弱であると考えた.試験を行った4種の物質の感作能は2-naphtholが最も強く,以下2-hydroxy-3-naphthoic acid,Naphthol ASの順であり,Naphthaleneには感作性は認めなかった.すなわち,2-naphtholの3位に付くものの分子量が大きくなるほど感作能は弱くなる傾向があった.このことから,Naphthol ASの感作能は2-naphthol骨格に由来するものであると考えた.
  • 倉員 正俊, 日高 桂子
    1985 年 95 巻 13 号 p. 1491-
    発行日: 1985年
    公開日: 2014/08/20
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    人乳中からカゼインを分離後,家兎に免疫して得られた抗ヒトカゼイン家兎血清を用いて,蛍光抗体法と酵素抗体法による正常皮膚組織と脈管の免疫組織学的検索を行った.その結果,脂腺,エックリン腺,アポクリン腺,血管の内皮細胞に一致して特異的に反応することが判明した.以上のことから,カゼインは脂腺,汗腺,血管内皮細胞の組織マーカーとして非常に有用であることが示唆された.
  • 1985 年 95 巻 13 号 p. 1495-
    発行日: 1985年
    公開日: 2014/08/20
    ジャーナル 認証あり
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