抄録
モルモットを用いNaphthol ASおよびその合成過程に生成されるNaphthalene,2-hydroxy-3-naphthoic acid,2-naphtholの計4種の物質について感作試験を行った.その結果Naphthol ASに肉眼的,組織学的に陽性反応を示す例がみられたが,その割合は少なくNaphthol ASの感作能は微弱であると考えた.試験を行った4種の物質の感作能は2-naphtholが最も強く,以下2-hydroxy-3-naphthoic acid,Naphthol ASの順であり,Naphthaleneには感作性は認めなかった.すなわち,2-naphtholの3位に付くものの分子量が大きくなるほど感作能は弱くなる傾向があった.このことから,Naphthol ASの感作能は2-naphthol骨格に由来するものであると考えた.