日本皮膚科学会雑誌
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中・長波長紫外線のブタ皮膚透過性とそれにたいする紫外線吸収剤および基剤の効果
柿島 博青柳 繁安部 隆高橋 仁子松尾 聿朗大城戸 宗男
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1985 年 95 巻 4 号 p. 425-

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抄録

中・長波長領域の紫外線の皮膚透過性とそれに対するサンスクリーン剤の光透過抑制効果を知る目的で,ブタ皮膚とXeランプを光源とするモノクロメーターとを組合せた装置を作製した.光透過にたいする皮膚の水含有効果をみたところ,湿潤ブタ皮膚は乾燥ブタ皮膚に比べ290~400nmの紫外部領域の光透過率が20~30%高かった.湿潤ブタ皮膚の表面にエチルアルコールを塗布すると光透過率がさらに290,300nmで約2倍,UVA領域でも1.4~1.7倍の増加がみられた.5種類の基剤塗布による比較ではプロビレングリコールが最も高い光透過率の増加を示した.一方,紫外線吸収剤,PABAおよびオクチルPABAの光透過抑制効果はそれらの吸収スペクトルによく一致し,無機顔料,二酸化チタンおよびタルクの比較では二酸化チタンが紫外部全領域にたいして完全抑制効果があった.角質層の光透過にたいする影響は,角質層除去後の皮膚で,紫外線透過率が最大5%の増加率を示したにすぎなかった.

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© 1985 日本皮膚科学会
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