日本皮膚科学会雑誌
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Pringle病に見られる特異な非上皮性細胞の本態に関する知見補遺(Ⅵ)―colchicineに対する態度について―
石橋 康正岩田 充古江 増隆大原 国章久木田 淳
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1985 年 95 巻 4 号 p. 477-

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抄録

Pringle病患者顔面の外見上健常な皮膚(PN)および脂腺腫(AS)を体外培養し,遊出する非上皮性細胞のcolchicine(Col)に対する態度を観察した.1)PNやASから遊出する小型樹枝状細胞(SDC)は,健常人からの線維芽細胞(Fbl)と同様に,Col処置後2時間で著しい分裂異常を示した.2)この分裂異常は24~48時間で最高となり,7~15日後ほぼ正常に復した.3)それら異常分裂を示すSDCは,その後一時的に異型性を示すが,それも4,5週間で正常にかえった.4)これに対してASから遊出する大型樹枝状細胞(LDC)は,Colにより異型性を示しても,異常分裂そのものの増加や,LDC自身の数の著増は明らかでなかった.5)以上の所見から,ASに見られる異型のLDCは,SDCのCol処置等により簡単に生ずるものではなく,そのもつ特徴的分裂異常もCol処置後のそれとは似て非なるものと推論された.

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© 1985 日本皮膚科学会
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