日本皮膚科学会雑誌
Online ISSN : 1346-8146
Print ISSN : 0021-499X
ISSN-L : 0021-499X
乾癬における末梢血T細胞機能 第3報 PUVA治療の影響
山口 茂光田中 正明斉藤 昭雄林 良一佐藤 良夫
著者情報
ジャーナル 認証あり

1985 年 95 巻 7 号 p. 791-

詳細
抄録

乾癬における免疫能の解析の1つとして,PUVAを受けている患者の免疫能を検索した.施行した検査はpokeweed mitogen(PWM)誘導免疫グロブリン(Ig)産生,健康人non-T細胞に対するhelper活性(% helper function),autologous mixed lymphocyte reaction(AMLR)誘導helperおよびsuppressor活性である.1)PUVAで治療した患者群(PUVA治療群)と治療しない群(PUVA未治療群)の比較では,前者にAMLR誘導helper活性が低い傾向にあった.2)PUVA未治療群とPUVA治療群,特に8-MOP内服によるPUVAを受けている群の増悪群同士を比較すると,後者のほうにPWM誘導Ig産生,%helper function(IgA),AMLR誘導helper活性が低い傾向にあった.しかし,AMLR誘導suppressor活性では両者に差は認められなかった.3)PUVA未治療群とPUVA治療群の慢性群,改善群同士の比較ではすべての検索で差がなかった.4)PUVAを受けている汎発型と限局型の症例の比較では,増悪群の症例や8-MOP内服によるPUVAを受けている症例の割合が両者で異なるため,はっきりした傾向は出なかった.以上の成績は,PUVA,特に8-MOP内服によるPUVAが,弱いながらT細胞helper活性を抑制していることを示唆する.

著者関連情報
© 1985 日本皮膚科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top