日本皮膚科学会雑誌
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帯状疱疹の臨床・病理学的研究 第1編 帯状疱疹患者におけるウイルス抗体価の推移
村木 良一
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1986 年 96 巻 1 号 p. 1-

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抄録

帯状疱疹272症例について補体結合反応(CF)抗体価の推移および臨床像との関連について検討し,93例では免疫粘着血球凝集反応(IAHA)による抗体価の検索も行った.(1)経時的推移では,発病4日以内にはIAHA抗体価のみ軽度上昇し,CFは陰性の例が多いが,第7病日頃よりCF,IAHAとも上昇を認め,第10~16病日にかけて最も高く,以後下降するが,6ヵ月,9ヵ月後にも軽度の上昇がみられた.(2)皮疹との関連では,潰瘍群など皮疹の重篤な群ほど高い抗体価を示し,また高値が持続した.(3)汎発例では一般に高値を示したが,汎発疹の顕著な重症例では上昇が遅延し,激症死亡例では全く上昇しなかった.(4)神経痛が長期間持続する群では,ことに60歳以上において,抗体価の著しい上昇が病初期よりあり,高値は約4ヵ月間持続した.(5)CF抗体価の測定法としては100%溶血法に比べ,50%溶血法の方が臨床的重症度をよりよく反映していた.

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© 1986 日本皮膚科学会
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