1986 年 96 巻 6 号 p. 617-
角層を部分的にstrippingした後に新しく露出させた中層の角層の水分含有量の変化を観察した.また角層の表面に脱脂操作および脱脂後に水による抽出操作を行ない,その影響を健常部の角層およびstripping後の角層の両者において比較検討した.Strippingによって角層水分含有量,吸水能および水分保持能が高くなるが,この傾向は2日間位で消失した.脱脂操作を行うと,水分保持能低下が中層の角層よりも皮表の角層で早く現われ,早く消失した.また脱脂操作に水による抽出操作を加えると,角層水分含有量と水分保持能の低下がさらに著明にみられた.乾皮症におけるstrippingによる角層水分含有量の上昇は健常部でのそれより少なく,乾皮症病変部において機能の低下した角層の貯留のあることが示唆された.