日本皮膚科学会雑誌
Online ISSN : 1346-8146
Print ISSN : 0021-499X
ISSN-L : 0021-499X
晩発性皮膚ポルフィリン症(porphyria cutanea tarda)患者の尿中,糞便中ポルフィリン体分析
野中 薫雄大神 太郎長戸 紀渡辺 雅久吉田 彦太郎村山 史男入船 弘子山下 和徳
著者情報
ジャーナル 認証あり

1987 年 97 巻 2 号 p. 151-

詳細
抄録

Porphyria cutanea tarda患者26名99検体の糞便中ポルフィリン体を溶媒抽出法にて測定し,尿中ポルフィリン体,血中ポルフィリン体値と共に,対照群と比較検討をおこなった.糞便中uroporphyrin(UP),coproporphyrin(CP),protoporphyrin(PP)値はともに対照群に比べて増加していたが,UP,CPの値がPPに比べて著しく増加していた.糞便中UP/PP,CP/PP比は対照群が0.012,0.602とPP優勢像を示しているのに比べて,PCT群では0.194,2.649とUP,CPが対照群に比べて多量に排泄され,ことにCPはPPより優勢に排泄されていた.以上の結果から,糞便中ポルフィリン体排泄像も基本的には尿中排泄像と同様の変化と思われるが,CP排泄の増加はuroporphyrinogen decarboxylase活性低下のみでは説明出来ず,他の酵素系の異常の合併も推定せざるを得ない.糞便中ポルフィリン体の測定およびUP/PP比,CP/PP比の観察はPCTの生化学的診断の助けとなると思われ,ことにCP/PP比の逆転像は,PCT患者に比較的特異な所見であると考えられる.

著者関連情報
© 1987 日本皮膚科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top