日本皮膚科学会雑誌
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Porphyria cutanea tardaの水疱発生機序 1.Porphyria cutanea tarda 3例における水疱の組織学的観察
長戸 紀大神 太郎村山 史男本田 哲三野中 薫雄吉田 彦太郎
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1987 年 97 巻 4 号 p. 471-

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抄録

ポルフィリン症の皮膚病変のうち水疱,糜爛はporphyria cutanea tarda(以下PCTと略)に特徴的な症状である.その発生機序の詳細は不明であるが,表皮真皮境界部の真皮側が何らかの理由で脆弱化しているためと推測する意見が強く,dermolytic bullaであるとする報告が多い.われわれは3例のPCT患者の水疱部を生検し,その発生部位について光顕的,電顕的に観察した.その結果,3例とも光顕的には表皮下水疱であり,PAS陽性物質は水疱底にほとんど存在していた.また,電顕的にはbasal laminaは一部水疱蓋に認められたが,大部分の部で水疱底に明確に認められた.すなわち我々が経験した3例のPCTの水疱はbasal laminaの上に生じたjunctional bullaから始まり,さらに刺激が加わることによってdermolyitic bullaに移行する可能性があると考えた.

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© 1987 日本皮膚科学会
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