日本皮膚科学会雑誌
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97 巻, 4 号
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  • 川口 新暉, 河 陽子, 川口 早苗, 溝口 昌子, 久保田 伸江
    1987 年 97 巻 4 号 p. 437-
    発行日: 1987年
    公開日: 2014/08/08
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    母親と2児に認められた典型的なWaardenburg症候群の母子例について報告した.35歳の母親と5歳の女児に先天性感音性難聴,内眼角と涙点の側方転位,虹彩異色症と前頭部の白髪がみられた.女児はさらに鼻根部の拡大,睫毛の白変と部分的白斑を認め,同胞の8歳の男児は鼻側部眉毛過形成と内眼角の側方転位のみを認めた.また,女児に認められた部分的白斑について光顕,光顕dopa,および電顕的に検索した.剥離dopa反応で白斑部はdopa陽性細胞がない部位がほとんどであったが,一部には少数ながら陽性細胞が認められた.白斑部melanocyteの電顕所見では,melanosomeは比較的stageの若くて未熟なものが多く,形態異常もみられた.以上の所見は程度の差はあるものの,piebaldismの白斑と類似していた.
  • 山口 茂光, 松崎 照樹, 設楽 篤幸, 岡 吉郎
    1987 年 97 巻 4 号 p. 445-
    発行日: 1987年
    公開日: 2014/08/08
    ジャーナル 認証あり
    本症例は爪の病変を含む広範な表在性白癬が慢性に経過し,これに皮下膿瘍の合併がみられたものである.皮膚表面,膿瘍壁及び壊死組織の培養でいくつかの肉眼的に異なる形態を示す菌株が得られたが,顕微鏡的形態はいずれも同一で,すべての菌株をTrichophyton rubrumと同定した.免疫学的検索から血清IgE高値,細胞性免疫能の低下のほか,血清中に免疫抑制因子の存在が示唆された.血清による免疫抑制はグリセオフルビン内服によって改善することも明らかになった.以上より,細胞性免疫の低下は白癬菌感染のための高IgE血清による2次的なものと推論した.この細胞性免疫の低下が更に重篤な白癬菌感染をおこすという,悪いcircuitの存在が推測された.このcircuitの形成にはsuppressor T細胞の機能異常が関与している可能性も否定できない.自験例は重篤な基礎疾患がなくとも,軽度の免疫異常を有する患者が適切な治療を長く受けなかった場合にも本症が発症する可能性のあることを示している.
  • 山﨑 雙次, 折原 俊夫, 古谷 達孝, 宍戸 英雄
    1987 年 97 巻 4 号 p. 453-
    発行日: 1987年
    公開日: 2014/08/08
    ジャーナル 認証あり
    腰部に原発し,その後内臓に広汎な転移を見,かつgeneralized melanosisおよび高度のメラニン尿を来した47歳,女性の悪性黒色腫の1例を報告した.generalized melanosisを呈した皮膚病変部の光顕ならびに電顕的組織所見ではメラニン色素は主として真皮全層にわたり組織球内および血管内皮細胞内の空胞内にメラノゾームおよびその崩壊産物と思われる顆粒状物質として認められたが,これらと無関係に血管周囲性真皮結合織間および脂肪細胞間にも同様所見が認められた.malignant melanoma cellは認められなかった.広汎に転移を来した悪性黒色腫にgeneralized melanosisが併発することは極めて稀有な現象であり,全世界的にみてもその報告は21例にすぎず,ここに報告した症例は本邦第1例である.既往報告例の総計的観察を行うとともに,本症の発症機序を自験例ならびに既往報告例に基づき考察した.
  • 丸山 友裕, 伊藤 雅章
    1987 年 97 巻 4 号 p. 463-
    発行日: 1987年
    公開日: 2014/08/08
    ジャーナル 認証あり
    74歳,女性の播種状表在性光線汗孔角化症の1例を報告した.40歳頃より露出部に環状茶褐色皮疹が出現し,徐々に増加した.辺縁は軽度に隆起し,環内に毛孔一致性褐色丘疹が散在する.組織学的に環に一致して表皮に,また,環内の汗孔,毛包にcornoid lamellaの形成を認める.環内の真皮上層にはアミロイドの沈着があり,特にcornoid lamellaの周囲に著明である.DACM染色および電顕的観察により表皮living layerに異常角化細胞を認める.角化異常が表皮内を遠心性に伝播され汗孔,毛包部に残存し,その伝播の過程で異常角化細胞に由来するアミロイドが真皮に沈着したものと考えられる.機序は不明であるが汗孔,毛包部にそのアミロイドが残存し,正常化した表皮の直下のアミロイドは次第に消失すると考えられる.
  • 長戸 紀, 大神 太郎, 村山 史男, 本田 哲三, 野中 薫雄, 吉田 彦太郎
    1987 年 97 巻 4 号 p. 471-
    発行日: 1987年
    公開日: 2014/08/08
    ジャーナル 認証あり
    ポルフィリン症の皮膚病変のうち水疱,糜爛はporphyria cutanea tarda(以下PCTと略)に特徴的な症状である.その発生機序の詳細は不明であるが,表皮真皮境界部の真皮側が何らかの理由で脆弱化しているためと推測する意見が強く,dermolytic bullaであるとする報告が多い.われわれは3例のPCT患者の水疱部を生検し,その発生部位について光顕的,電顕的に観察した.その結果,3例とも光顕的には表皮下水疱であり,PAS陽性物質は水疱底にほとんど存在していた.また,電顕的にはbasal laminaは一部水疱蓋に認められたが,大部分の部で水疱底に明確に認められた.すなわち我々が経験した3例のPCTの水疱はbasal laminaの上に生じたjunctional bullaから始まり,さらに刺激が加わることによってdermolyitic bullaに移行する可能性があると考えた.
  • 塚本 宏太郎, 神崎 保
    1987 年 97 巻 4 号 p. 479-
    発行日: 1987年
    公開日: 2014/08/08
    ジャーナル 認証あり
    我々はすでにヒト表皮系の腫瘍である悪性外毛根鞘腫の細胞株(TK-TL-3)を組織培養において樹立している.本腫瘍の原発巣および転移巣には組織学的に多数の好酸球の浸潤が認められた.本論文においては,この腫瘍細胞の培養上清液を用いて細胞がeosinophilic chemotactic factor(ECF)を産出しているか否かを検索した.in vivoにおけるskin window法および皮内注射法,in vitroにおけるBoyden chamber法のいずれにおいても,培養上清液中に強い好酸球遊走活性が認められた.本細胞より産生されるECFの特性は,1)表皮角化細胞より産生されること,2)骨髄に作用するeosinophil colony stimulating factor(Eo-CSF)とは異なること,3)血清補体由来ではないこと,4)分子量5,000以上の高分子物質と推定されること,5)T cell independentであること,6)表皮角化細胞より産出されるneutrophilic chemotactic factor(NCF)とは異なること,7)epidermal cell thymocyte-activating factor(ETAF)やleukotrienes(LT)とは異なることであった.これらのことより,表皮角化細胞はNCF,ETAF,LTだけでなく、ECFをも産出する能力があることが証明された.
  • 池田 志斈
    1987 年 97 巻 4 号 p. 485-
    発行日: 1987年
    公開日: 2014/08/08
    ジャーナル 認証あり
    補体結合性抗基底膜部抗体及び補体の存在下で,好中球,好酸球,リンパ球及びマスト細胞をDispaseにより調製した表皮シートにそれぞれ反応させると,好中球と好酸球が基底細胞下縁に帯状に接着し,リンパ球とマスト細胞は帯状の接着を示さなかった.これらの所見は,類天疱瘡抗体,補体の存在下で,多形核白血球が基底膜部に遊走し,類天疱瘡における水疱が形成される可能性を支持するものであり,また類天疱瘡皮膚組織でみとめられる,好中球,好酸球,リンパ球及びマスト細胞等の浸潤細胞のそれぞれの役割を検討するうえで,興味深い所見と思われる.白血球浮遊中の好中球及び好酸球の比率と,表皮シート下縁に接着したそれぞれの比率を比較したところ,好酸球に比べて好中球がより接着し易い傾向にあり,患者病変及び抹消血中にみられる好酸球増多には,類天疱瘡抗体,補体由来の走化性因子以外の因子が関与していることが推定された.
  • 江川 清文, 小野 友道, 荒尾 龍喜
    1987 年 97 巻 4 号 p. 493-
    発行日: 1987年
    公開日: 2014/08/08
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    足底に生じた表皮様嚢腫の5例につき,ABC法を用いてヒトパピローマウイルス(HPV)の検索を行ったところ,驚くべきことに全例で陽性の結果を得た.検索した全例でこの様にHPVが検出されたことは,これらの表皮様嚢腫にHPVが単に二次感染したのではなく,その発生機序に直接関与することを示唆する所見と考えた.すなわちHPV感染ケラチノサイトが外傷などの原因により表皮下で増殖し,これらの嚢腫を形成した可能性が考えられる.
  • 1987 年 97 巻 4 号 p. 497-
    発行日: 1987年
    公開日: 2014/08/08
    ジャーナル 認証あり
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