日本皮膚科学会雑誌
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悪性外毛根鞘腫細胞より算出される好酸球遊走因子の特性
塚本 宏太郎神崎 保
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1987 年 97 巻 4 号 p. 479-

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抄録

我々はすでにヒト表皮系の腫瘍である悪性外毛根鞘腫の細胞株(TK-TL-3)を組織培養において樹立している.本腫瘍の原発巣および転移巣には組織学的に多数の好酸球の浸潤が認められた.本論文においては,この腫瘍細胞の培養上清液を用いて細胞がeosinophilic chemotactic factor(ECF)を産出しているか否かを検索した.in vivoにおけるskin window法および皮内注射法,in vitroにおけるBoyden chamber法のいずれにおいても,培養上清液中に強い好酸球遊走活性が認められた.本細胞より産生されるECFの特性は,1)表皮角化細胞より産生されること,2)骨髄に作用するeosinophil colony stimulating factor(Eo-CSF)とは異なること,3)血清補体由来ではないこと,4)分子量5,000以上の高分子物質と推定されること,5)T cell independentであること,6)表皮角化細胞より産出されるneutrophilic chemotactic factor(NCF)とは異なること,7)epidermal cell thymocyte-activating factor(ETAF)やleukotrienes(LT)とは異なることであった.これらのことより,表皮角化細胞はNCF,ETAF,LTだけでなく、ECFをも産出する能力があることが証明された.

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© 1987 日本皮膚科学会
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