日本皮膚科学会雑誌
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女性における脂腺の年齢による形態変化 画像解析と電顕による研究
増子 倫樹
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1988 年 98 巻 4 号 p. 443-

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抄録

年齢による脂腺の形態の変化を知るために各年代計14例の女性の前額部の正常皮膚を生検し,光顕切片を作製し,画像解析により脂腺腺葉および脂腺細胞の面積を測定した.さらに,それらの連続二次元画像を入力し,立体像を構築し,その体積を求めた.また,電顕的に各脂腺の微細構造を検索した.脂腺腺葉の断面積は20歳代で最大となり,10歳以下と70歳以上では20~40歳代と比べて有意に小さい.脂腺の体積は10歳以下では小さく,10歳代より増大し,20歳代で最大となり,50歳代から縮小する,という年齢的推移が認められる.脂腺細胞の断面積,体積は青年期が最も大きく,老人,小児の順に小さくなり,脂腺の体積の増大は脂腺細胞の数の増加と個々の細胞の大きさの増大によると考えられる.微細構造的に,大きな脂腺の周辺細胞は立方形で多層化し,成熟細胞はほぼ大きさの揃った脂質滴で充満している.小児,老人の小さな脂腺では,周辺細胞は扁平,1~2層で,成熟細胞は大小不揃いの脂質滴を含有している.以上,女性前額部の脂腺は加齢に伴う形態学的変化を示すといえる.

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© 1988 日本皮膚科学会
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