日本皮膚科学会雑誌
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足底悪性黒色腫色素斑部の病理組織学的特徴―足底悪性黒色腫早期病変の病理組織学的モデル―
斎田 俊明
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1988 年 98 巻 4 号 p. 453-

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抄録
足底悪性黒色腫初期病変の病理組織学的特徴が,足底悪性黒色腫にみられる色素斑性病変部の所見と同等であろうとの考え方のもとに,後者を詳しく検討することによって,初期病変の特徴を推定しようと考えた.今回の検索によって,acral lentiginous melanoma型の足底悪性黒色腫原発巣部にみられる淡褐色から濃褐色,黒色までの濃淡差のある色素斑部においては,異型メラノサイトの表皮内での増殖の程度に応じて,われわれがphaseⅠ,Ⅱ,Ⅲと名づけた下記の如きかなり特徴的な病理組織学的所見のみられることが明らかにされた.phaseⅠ:主として表皮基底層部に(異型)メラノサイトが個別性に疎に増数する.phaseⅡ:表皮突起内や表皮下層部を中心に異型メラノサイトが主として個別性にかなりの密度で増数する.phaseⅢ:表皮のほぼ全層にわたって異型メラノサイトが個別性に増数し,とくに表皮下半部に増数が顕著である.また,しばしば表皮下層部に大小,不規則形の胞巣形成がみられる.足底悪性黒色腫の色素斑部では,以上の各phaseが,臨床的な色調の濃淡にほぼ対応して,不規則に配置されて見出された.このphaseⅢまでの段階においては,異型メラノサイトの増殖は表皮内にほぼ限局されており,真皮内への明らかな侵入,増殖は認められない.従って,この部分に限っていえば,ClarkらのlevelⅠ,すなわちAckermanのmalignant melanoma in situの段階に相当するものであるといえる.これらの検索結果から足底に生じる悪性黒色腫早期病変(acral lentiginous melanoma in situ)の特徴を類推すると,臨床的にはおそらく淡褐色から黒色までの濃淡差のある非定型な色素斑性病変としてみられ,病理組織学的には上述のphaseⅠ,Ⅱ,Ⅲの各所見が不規則に混在した状態で認められるものと予想される.このような検索を通して,足底悪性黒色腫早期病変の臨床的,病理組織学的診断基準が将来,明確化されるに至れば,その早期診断が容易となり,本邦人の悪性黒色腫の予後は大幅に改善されるものと期待される.
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© 1988 日本皮膚科学会
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