日本皮膚科学会雑誌
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円形脱毛症患者における末梢血リンパ球の量的,機能的検討
田中 正明
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1988 年 98 巻 8 号 p. 809-

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抄録
円形脱毛症患者における末梢血リンパ球を量的,機能的に検索し,以下の結果を得た.1)OKT3陽性細胞率は,病型別では汎発性脱毛症で低値を示し,他の病型では有意差はなかった.病期別では脱毛期,脱毛停止期とも健康対照群と有意差はなかったが,両病期間の比較で,脱毛期は脱毛停止期に比較して低値を示し,病勢の強い時期での一過性の低下が示唆された.2)円形脱毛症患者の末梢血リンパ球でOKT4陽性細胞率/OKT8陽性細胞率比の高値がみられ,これは病型別では通常型,全頭脱毛症に,病期別では脱毛期,脱毛停止期ともにみられた.3)Leu12陽性細胞率に有意差はなかったが,HLADR陽性細胞率が有意の高値を示し,間接的にHLADR抗原陽性Tリンパ球の増加が示唆された.これは病型別では汎発性脱毛症に,病期別では脱毛期に著明にみられた.4)in vitro免疫グロブリン産生系でのPWMによるTリンパ球ヘルパー活性,白血球遊走阻止試験,AMLR誘導性ヘルパー活性では健康対照群と有意差はなかった.しかしAMLR誘導性サプレッサー活性は有意の低値を示し,これは各病型にみられ,病期別では脱毛期にみられた.以上の結果より,本症患者末梢血リンパ球異常,ことに抑制系免疫機序の減弱が示され,脱毛機序への自己免疫の関与が示唆された.これらの異常は病型,病期により異なり,特に汎発性脱毛症では,他の病型と免疫状態の異なることが推測された.
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© 1988 日本皮膚科学会
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