デサントスポーツ科学
Online ISSN : 2758-4429
Print ISSN : 0285-5739
研究論文
血流制限下での有酸素性運動の効果:血管内皮機能への影響を考慮した至適プロトコルの探索
水野 沙洸石田 浩司齊藤 満岩本 えりか片山 敬章
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2022 年 43 巻 p. 34-42

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抄録

本研究では,個人の動脈遮断圧に基づいた異なる圧設定での血流制限を伴う有酸素性運動が,非活動肢における血管内皮機能に及ぼす影響を明らかにすることを目的とした.若年男性10名(23±2歳)を対象に,最高酸素摂取量の 40 %強度にて30分間のリカンベント式の下肢自転車運動を以下の3条件下にて実施した:1)血流制限を行わない条件(コントロール条件),2)および3)動脈遮断圧の40 %あるいは80 %にて大腿基部に血流制限を行う条件(40 %条件,80 %条件).運動中は心拍数と血圧を連続的に記録した.運動前および運動後(10分,30分,60分)に上腕動脈における血流依存性血管拡張反応( flow-mediated dilation; FMD)を測定した.運動中,平均血圧はいずれの条件においても増加し,その増加の程度は80 %条件が最も大きかった. FMDは運動終了10分後にいずれの条件においても低下したが,コントロール条件および40 %条件の FMDに差は認められなかった(コントロール条件,運動前:5 .4± 0.4%,運動後10分:4 .2±0.5%,40%条件,運動前:5.6±0.6%,運動後 10分:4 .1±0.3%).一 方,80%条件では他の2条件と比較して,運動後の低下の程度は有意に大きかった(運動前:5 .4± 0.5%,運動後10分:2 .7±0.3%).以上の結果から,個人の動脈遮断圧に基づいた血流制限圧を用いた場合,有酸素性運動時における高圧での血流制限は,非活動肢における顕著な血管内皮機能の低下を誘発するが,低圧での血流制限では,その低下が軽減されることが明らかとなった.

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© 2022 公益財団法人 石本記念デサントスポーツ科学振興財団
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