我々は,農業ハウスでの利用を想定した冷却服の開発に取り組んでいる.本研究では,人工気候室内にWBGTが31℃の暑熱環境下を再現し,6名の被験者に4つの着衣条件で30分間の模擬的な農作業を行わせ,冷却服が衣服内気候や体温等の生体信号,作業負担などの主観評価に及ぼす影響を検討した.その結果,以下の結論を得た.(1)鼓膜温は,標準的な着衣,保冷剤を用いた冷却服では30分の作業で0 .2℃程度上昇したが,ファン付き作業服ではほとんど上昇がみられず,体温上昇を抑える傾向があることがわかった.(2)ファン付き作業服では,他の着衣よりも衣服内温度,衣服内湿度ともに低く抑えられることがわかった.