デサントスポーツ科学
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Print ISSN : 0285-5739
研究論文
2 型糖尿病患者・肥満患者における病態と爪郭毛細血管の定量評価の関連について
三好 建吾近森 正智青山 倫久松永 行子山内 敏正
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2024 年 45 巻 p. 169-176

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抄録

爪郭毛細血管は手指先端の爪郭部に存在するヘアピンループ状の微小な血管群のことで,注射針の穿刺や薬剤の使用などの侵襲性なく,比較的低価格の小型顕微鏡で簡便かつ非侵襲に観察が可能である.爪郭毛細血管の形態は様々な疾患によって変化することが知られ,これまでに2型糖尿病や合併症との関連が指摘されてきたが,爪郭毛細血管形態についての画像の定量的解析を行った報告は少ない.従来の半定量的な画像解析では主として疾患・合併症の有無のみの解析が限界で,より精度の高い定量解析に移行することで,疾患の重症度を評価することも可能になるため,爪郭毛細血管顕微鏡が2型糖尿病診療における新たな検査方法となることが期待される.本研究では,糖尿病入院患者の血管径が,糖尿病の病勢を示す血糖コントロール指標であるHbA1cと有意に相関することを示した (R2=0.21, p=0.027).また糖尿病におけるインスリン抵抗性と関連するとされる肥満度は,肥満患者・糖尿病患者の血管内外の色のコントラストdelta Eと有意に相関した (R2=0.19, p=0.035).

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