抄録
ゲーム批評テキストからゲームの「面白さ」の要素を明らかにすることを目的とし、ある独立系 ゲーム批評誌に1994年~ 2006年の間掲載された884のゲーム批評記事を分析した。語の共起ベクトルを 指標とした二段階のクラスタリングによって15の妥当な叙述対象クラスターを自動的に得ることに成功 した。得られたクラスターの中には既存研究には見られなかった視点である「新規性」や「市場」に関 する叙述対象があり、これらは高い割合で感性語と係り受けするなど、ゲームの評価において重要と考 えられる性質を示した。また、得られた叙述対象の10年間にわたる変遷の中で、表現的要素が減少し、 感覚的要素が増加していることが明らかになった。