デジタルゲーム学研究
Online ISSN : 2434-4052
Print ISSN : 1882-0913
4 巻, 1 号
選択された号の論文の6件中1~6を表示しています
  • 新田 直也, 久野 剛司, 久米 出, 武村 泰宏
    2010 年 4 巻 1 号 p. 1-12
    発行日: 2010年
    公開日: 2019/10/01
    ジャーナル フリー
    近年、大規模化するゲームソフトウェアの開発コストを低減させるため、ゲームエンジンの開発・再利用が盛んになってきている。しかしながら、ゲームエンジンのアーキテクチャに関する学術研究は今のところ少なく、ゲーム業界において混乱を招くひとつの要因となっている。そこで本研究では、われわれの研究室でJava言語を用いて開発した3DゲームフレームワークのRadishを、ゲームエンジンアーキテクチャの比較のためのベンチマークとして提案する。本論文では、Radishのアーキテクチャがベンチマークとして妥当であることを示すために、Java言語で開発された代表的なオープンソースのゲームエンジンであるjMonkeyEngineと比較することによって、ベンチマークアーキテクチャとしての定性的、定量的な評価を行った。定量的な評価に際しては、jMonkeyEngineのチュートリアルプログラムの Radish上への移植作業を行った。その結果、機能の統合容易性、実装効率および実行速度において優位な結果を得ることができ、Radishのベンチマークとしての妥当性を示すことができた。
  • 梶浦 久江, 中山 伸一
    2010 年 4 巻 1 号 p. 13-18
    発行日: 2010年
    公開日: 2019/10/01
    ジャーナル フリー
    ブロック崩しゲームに付与される音楽と効果音が、ゲームの楽しみであるフローに与える影響 を検討するために、フロー体験モデルの有効性を確認した上で、その効果の検討を行った。検定によ り有意な差が見られたのは、「暗く、落ち着きのない」音楽がフローを下げる効果であった。効果音は、 フローに影響を与えなかった。
  • 瀬谷 安弘, 佐藤 皇太郎, 木村 祐介, 大久保 明, 遠山 茂樹, 山形 仁, 笠原 和美, 藤懸 大也, 山本 有紀, 池田 華子, ...
    2010 年 4 巻 1 号 p. 49-58
    発行日: 2010年
    公開日: 2021/07/01
    ジャーナル フリー
    本研究では、没入型ディスプレイを用いたアーケードゲームにおいて、どの程度の視聴覚情報が ゲームプレイに利用され、またゲームの楽しさや臨場感に反映されているのかを検討するために、プレイヤーの利用可能な周辺視野情報(実験1と2)や音響情報(実験3)を制限し、そのパフォーマンス(例えば、ゲームスコア)を測定した。結果は、プレイヤーがディスプレイ全ての周辺視野情報を処理して いるのではなく、特定の“有効視空間(Effective visual space)”内にある情報のみを処理していること 示した。また、視覚情報だけでなく、音響情報の提示がゲームプレイの楽しさや臨場感に重要な役割を果たしていることがわかった。
  • 加藤 亮, 河合 隆史, 二瓶 健次, 佐藤 正, 山形 仁, 田代 泰典, 山崎 隆
    2010 年 4 巻 1 号 p. 59-67
    発行日: 2010年
    公開日: 2021/07/01
    ジャーナル フリー
    本研究では、マイクロフローの観点からゲームの心理効果に着目し、昼から夕方にかけて上昇し たねむけ感や不安定感への、プレイによる影響について検討した。実験では、10例の被験者に対して、 携帯ゲーム機用ソフト2種類(音楽・パズル)のプレイを求め、各ゲームで3試行ずつ、合計6試行を行い、 プレイ中の皮膚電気活動、フロー状態、また、プレイ前後の疲労状態および覚醒状態を測定し、ソフト 間の差異や試行間、プレイ内容等の観点から比較・検討を行った。結果として、2種類のソフトに共通して、 覚醒水準の上昇が認められた。ソフト間の差異として、音楽ゲームではねむけ感の低下や活力感の上昇 がみられ、パズルゲームでは不安定感の低下がみられた。
  • -レビューテキストの計量解析による叙述対象の自動抽出-
    川島 隆徳, 村井 源, 徃住 彰文
    2010 年 4 巻 1 号 p. 69-80
    発行日: 2010年
    公開日: 2021/07/01
    ジャーナル フリー
    ゲーム批評テキストからゲームの「面白さ」の要素を明らかにすることを目的とし、ある独立系 ゲーム批評誌に1994年~ 2006年の間掲載された884のゲーム批評記事を分析した。語の共起ベクトルを 指標とした二段階のクラスタリングによって15の妥当な叙述対象クラスターを自動的に得ることに成功 した。得られたクラスターの中には既存研究には見られなかった視点である「新規性」や「市場」に関 する叙述対象があり、これらは高い割合で感性語と係り受けするなど、ゲームの評価において重要と考 えられる性質を示した。また、得られた叙述対象の10年間にわたる変遷の中で、表現的要素が減少し、 感覚的要素が増加していることが明らかになった。
  • ―報奨性とネガティブムード―
    山岡 あゆち, 小林 鈴奈, 毛利 瑞穂, 坂元 章
    2010 年 4 巻 1 号 p. 81-89
    発行日: 2010年
    公開日: 2021/07/01
    ジャーナル フリー
    テレビゲームの短時間使用が攻撃行動に及ぼす影響と、またその調整要因と媒介要因について、 女子大学生33名に対する実験により検討した。実験は、1要因3水準の被験者間計画であり、(a)暴力に 対する報奨が多いビデオゲームをプレイする条件、(b)暴力に対する報奨が少ないビデオゲームをプレ イする条件、(c)中性的な映画を視聴する統制条件があった。テレビゲームもしくは映画への接触後、媒 介要因として検討する敵意感情、ネガティブなムード、生理的喚起、活動性を測定した。その後、他者 へ電流を流す状況を設定して被験者の攻撃行動を測定した。実験の結果、テレビゲーム使用が攻撃行動 を促進させ、報奨性がその影響を調整することが示唆された。活動性とネガティブなムードがテレビゲー ムの攻撃行動促進の影響を媒介することも示唆された。
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