抄録
弱視治療における視覚野の賦活とアドヒアランス向上を目的としたデジタルゲームの効果を、近赤外分光法(NIRS)を用いて評価した。健常青年被験者(n =10, 各実験に5 名ずつ参加)に対し、異なる視線移動パターンを持つ市販ゲーム2種(『マリオカート8』と『スマッシュブラザーズ』)とオリジナルゲーム2 種(『窓ふきゲーム』と『作画ゲーム』)を使用し、後頭葉視覚野(V2-V3 領域)の酸素化ヘモグロビン(oxy-Hb)濃度変化を測定した。すべてのゲームで安静時と比較して有意なoxy-Hb 濃度の上昇(p<0.01)が確認され、特に画面全体への視線移動を要する『スマッシュブラザーズ』において最も高い賦活が観察された。視線移動範囲の広いゲーム課題が視覚野の効果的な賦活を促す可能性が示唆された。