日本デジタルゲーム学会 年次大会 予稿集
Online ISSN : 2758-6480
第16回 年次大会
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口頭セッション 9 : LLM2
統計学習ゲームの企画において直面した大規模言語モデルにおける統計的検定解釈の誤謬
―正規性検定を事例として―
*小川 充洋
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会議録・要旨集 オープンアクセス

p. 155-158

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抄録
近年、大規模言語モデル(LLM)を用いた実用例やアプリケーションが盛んに試みられている。現状のLLM は強く帰納的な手法であると言え学習データの影響を強く受けざるを得ない。このため、学習データの質は重要であるが、学習データによっては誤謬もありうるというのは妥当であると言える。今回、この誤謬の一例に遭遇したので報告する。この誤謬は、LLM を用いた統計学習ゲームを企画する上で起こったものである。統計的検定についてLLM と議論する上で、いわゆる正規性検定について問題となった。正規性検定は、サンプルデータは正規分布に従うことを帰無仮説として行われるものである。統計的検定の性質上、帰無仮説が棄却されなかった場合、「データは正規分布に従うとも従わないとも言えない」というのが正しい結論である。しかしLLM はこれを「データは正規性を持つ」と解釈していた。LLM との議論を進展させた結果、LLM は自らの誤りを認めたが、別の人工知能モデルにおいても同様の現象を認めた。正規性検定について上記の誤謬を持つ例(論文や学会発表など)は散見されるため、これらを学習したために起きた誤謬であると推察できる。このようにLLM は学習データによって誤る可能性を強く否定できないものと考えられ、LLM による思考を学習ゲームなどに導入する場合には注意が必要と考えられた。
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