抄録
本事例は自作ゲームの有用性に関する発表である。医療系シリアスゲームでは、入院者がシリアスゲームのプレイを通して、治療に前向きな気持ちになる、などの先行研究がある。一方で入院者がビデオゲームを制作することで、どのような内面変化が発生するかは、先行研究が乏しい。そこで本研究では第一著者と、筋ジストロフィーで長期入院中の三名の入院者、および担当の作業療法士(それぞれ第二〜第四著者、第五著者)が研究チームを組み、オンラインで情報共有を行いながら、3 種類のゲームを共同開発した。その後、制作したゲームを地域イベントで出展し、プレイ風景の録画ビデオを参照してもらった。最後に共同研究者である入院者(第二〜第四著者)に対して、アンケートへの回答を通して振り返りを行った。その結果、ゲームを作って健常者にプレイしてもらう経験を通して、入院者に前向きな気持ちの変化が観察された。