抄録
ゲームAI において、経路探索は非常に重要な技術の一つである。特にキャラクターの追跡行動においては、追跡対象の位置が常に変化するため、最短経路を繰り返し再計算する必要があり、処理速度が課題となる。従来広く用いられているダイクストラ法は、目的地が変わるたびにグラフ全体を探索する必要があり、動的な環境下では計算コストが高くなるという問題がある。本研究では、粘菌アルゴリズムに着目し、これを動的経路探索に応用する手法を提案する。粘菌アルゴリズムは、ネットワーク内のノード間を流れる流量と圧力の関係を連立一次方程式として定式化し、その解をもとに経路の優先度を決定する手法である。提案手法では、始点や終点の接続構造が変化した場合にのみ連立方程式を再構築し、それ以外のフレームでは既存の構造を再利用することで、再探索処理の高速化を図った。複数のマップを用いた検証実験の結果、提案手法は小規模から中規模のマップにおいて、従来のダイクストラ法よりも短時間で経路の再探索が可能であることが確認できた。