日本デジタルゲーム学会 夏季研究発表大会 予稿集
Online ISSN : 2758-4801
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基調講演
ゲームのレビュー(セッション1)
ゲーミフィケーション1(セッション2)
  • ―『グノーシア』における「ルールの虚構化」を対象に―
    辻井 貴大
    p. 31-36
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/10/20
    会議録・要旨集 オープンアクセス
    従来のゲームスタディーズにおいて、ビデオゲームは「ルール」と「フィクション」が重なり合ったものとして捉えられ、その理論は今なお有効性を持った枠組みとして適用されている。この二分法の中で、虚構世界内の出来事の時間である「虚構時間」は、ルールの制約によって断絶を余儀なくされるものとして論じられてきた。これを踏まえて、本研究では、『グノーシア』におけるメタゲーム性がもたらす「ルール」と「フィクション」の一致を、ブリッタ・ナイツェルが提唱した「ルールの虚構化」という枠組みから捉え、テクスト分析と構造分析の手法を用いて分析する。この分析を通して、「ルール」と「フィクション」の不一致がもたらす「虚構時間」の断絶性を「ルールの虚構化」によって詐術的に超越しうる可能性について明らかにし、その要因としてビデオゲームとしてのインタラクティビティの存在を示唆する。
  • 宮川 慎也
    p. 37-39
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/10/20
    会議録・要旨集 オープンアクセス
    近年、経済産業省が策定した「デジタルスキル標準」、特に「DX リテラシー標準」では、共通して習得すべきスキルとして、クラウドサービスの理解・活用が明示されている。本研究では、これに対応した学習設計の在り方を検討し、特にゲーミフィケーション的要素(遊び・挑戦・対話)を取り入れたコンテンツの可能性に着目する。また、学習者の性格特性(BIG5)と学習要素の関連についての理論的整理を行い、今後の学習設計において個別性や継続性をどのように反映できるかについて考察する。
  • 別府 奏音, 石原 真紀夫
    p. 40-43
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/10/20
    会議録・要旨集 オープンアクセス
    ゲーミフィケーションでは,ユーザをタイプ別に分類し,それに応じた設計を行うことで効果が高まるとされる.一方,ユーザが複数のタイプに該当する可能性を前提に,客観データを用いた使用傾向の分析を行った例は少ない.本研究 ではプログラミング学習アプリを用いて5 名を対象に実験を行い,タイプ別に機能評価と使用状況を比較した.その結果,単一のタイプによる分類よりも多様な傾向が明らかになる可能性が示された.
ゲーム開発者(セッション3)
  • ビデオゲームデザイナーへのインタビュー研究に対するスコーピングレビュー
    伊藤 黎, 上原 歩乃佳
    p. 44-49
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/10/20
    会議録・要旨集 オープンアクセス
    ゲームデザインの科学的理論は現状整備不足であり、工学や心理学など複数分野からゲームデザインの理論が求められている。よって、実践知を整理するため、ゲームデザイナーに対する英語インタビュー論文についてスコーピン グレビューを行った。論文データベースの検索とフィルタリングの結果、51 論文が分析対象となった。これらの論文に登場するインタビュイーの居住地域や、大手かインディー開発者かなどといった所属組織の規模の分布について計数したのち、帰納的アプローチにより該当論文の関心領域の分類を行った。この結果、研究状況の傾向、偏りが明らかとなった。このスコーピングレビューを通じて、今後のゲームデザイン分野の研究方針に関する示唆が与えられた。
  • スポーツ・ゲーム・産業をつなぐ、新しい観戦体験のかたち
    中村 昭宏
    p. 50-54
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/10/20
    会議録・要旨集 オープンアクセス
    本稿では、ファンタジースポーツという観戦参加型ゲームの仕組みに注目し、日本におけるその社会実装の可能性を検討する。まず海外の先行事例を整理し、法制度や文化的背景との関係を概観する。次に、筆者が所属する会社で実施された実証プロジェクト「サポーターズクラウン」「スタッツビンゴ」を紹介し、スポーツとゲームをつなぐ応援体験としての意義を明らかにする。最後に、こうした取り組みが日本のスポーツ産業にもたらす可能性について考察する。
  • 日本とオーストラリアのインディーゲーム開発者の比較研究
    SCHULES Douglas, BURGESS Jacqueline
    p. 55-59
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/10/20
    会議録・要旨集 オープンアクセス
    本研究は、オーストラリアと日本の小規模なビデオゲーム開発会社を比較し、両業界の現状を明らかにするとともに、地域ごとの生産環境に関する知識を深めることを目的としている。オーストラリアのゲーム産業は国内では小規模な産業だが、日本はゲーム産業のグローバルリーダーとして認識されている。しかし、日本の小規模なゲーム開発会社に関する研究は限られている。本研究では、オーストラリアの16 社と日本の12 社のっ小規模開発会社を対象に準体系的インタビューを実施し、テーマ分析を用いて分析した。本論文では、両グループのデザイン視点とアプローチに関する最初の結果を提示し、これらの結果に関する今後の研究のための基本的な議論を提供する。
シリアスゲーム(セッション4)
  • 小川 充洋
    p. 60-62
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/10/20
    会議録・要旨集 オープンアクセス
    本研究では看護領域に関するシリアスゲームの文献レビューを試みた。レビューにおいては幅広い医療領域のうち特に看護領域を抽出することに注意して論文誌や検索キーワードの選択を行った。またこれまでわれわれはMedLine を用いた文献レビューを試みているが本研究でもMedLine を利用して文献の検索を行なった。メドラインから情報を入手するためのHTTPS リクエストの作成のためには、生成AI を用いてプロトタイピングを行うことを試みた。結果、看護領域に関するシリアスゲームでは教育に関するないしは啓蒙に関するシリアスゲームが多く試みられているものと考えられた。本発表では、その中でも研究結果に対して高いエビデンスを示していると思われる論文を取り上げて論ずる。
  • - 批判的思考態度尺度による評価 -
    土屋 慶太, SCHOUTEN Nynke Diana, 杉﨑 亮太, 関口 和巳, 喜内 瞭, 財津 康輔, 古市 昌一
    p. 63-68
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/10/20
    会議録・要旨集 オープンアクセス
    個人による情報の発信と拡散が容易になった現代において,我々は情報を大量に処理しており,この過程で読み手の信念は他者の意見から影響を受ける場合がある.この原因として,人間が持つ,無意識のうちに非合理的な判断をしてしまう心理的概念である認知バイアスが挙げられる.認知バイアスには現在100 種以上あることが知られており,これらによって自身の思考にエラーが起きることを認識し,即応検知能力を向上させる手段が求められる.そこで,我々は自身への認知バイアスの影響を認識し,即応検知能力の向上を目的とするシリアスゲームの開発と評価を行った.本研究では,評価尺度として学習意欲に関する概念であるARCSモデルと情報の受け入れ可否に関する批判的思考態度尺度を用いた.その結果,本ゲームがプレイヤーの学習意欲を向上させ,プレイヤーが自身の論理的思考の誤りに気づき,より多くの情報から判断する態度を持たせることが確認された.
  • 藤川 大祐
    p. 69-74
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/10/20
    会議録・要旨集 オープンアクセス
    本研究は、いじめ防止対策推進法に基づいた学校のいじめ対応をゲームとしてモデル化し、適切な対応を促す社会実装を目指すものである。いじめ対応では、対応に不備があると被害者の信頼を失い、その後の改善が困難となる。被害者の苦痛はすぐに軽減されることはなく、新たなミスがなければ時間とともに徐々に和らぐと考えられている。この構造は、学校を唯一のプレイヤーとする繰り返しゲームとして捉えることができる。このゲームでは、学校が対応に失敗すると大きな損失(苦痛の増大、信頼の喪失)が発生し、その損失は短期間で回復せず、新たなミスがなければ時間と共に減少するという特徴を持つ。簡易シミュレーションの結果、学校の組織風土が良い場合(m=0.9)にはゴール達成率が96.2%である一方、組織風土が悪い場合(m=0.3)では1.6%にとどまり、組織風土が適切な対応に不可欠であることが示唆された。本モデルは、教員向けの研修教材としての社会実装を想定しており、教員のいじめ対応への理解を深めることに貢献するだろう。
  • 中塚 秀司, 半田 知也, 伊藤 博隆, 杢野 久美子
    p. 75-78
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/10/20
    会議録・要旨集 オープンアクセス
    本研究は、眼科領域におけるシリアスゲーム型弱視訓練の有用性と課題を明らかにすることを目的とし、タブレット型弱視訓練器「Occlu-pad」を用いたシリアスゲーム型弱視訓練について検討した。Occlu-pad 単独使用例、遮閉法(アイパッチ)への切り替え例、併用例の3 症例を対象に保護者へのアンケートを実施し、治療への動機、継続可能性、満足度、ストレスなどを多角的に評価した。その結果、ゲーム性は患児の意欲向上や治療継続、保護者の負担軽減に寄与する一方、訓練内容への飽きや家庭環境による制約も認められた。今後は、個別性に応じた訓練の最適化、ゲームコンテンツの拡充、保護者支援を含む多角的支援体制の構築が求められる。
ゲームスキル・戦略(セッション5)
ゲームと生理学・解剖学・心理学(セッション6)
ヒストリー(セッション7)
  • - 『ドラゴンクエスト』と『ファイナルファンタジー』を中心に -
    小林 信重
    p. 113-118
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/10/20
    会議録・要旨集 オープンアクセス
    1970~1980 年代に主に米国で発展したRPG は、日本では1980 年代にパソコン雑誌などの紹介を通してマニア層に、また少年マンガ誌などの紹介を通して子どもや一般層に普及した。さらに西洋のRPG(WRPG)を分かりやすく親しみやすいものにした『ドラゴンクエスト』に対し、WRPG への回帰を目指した『ファイナルファンタジー』などが制作され、日本でRPG 文化が共有されていく。本研究は、日本のクリエイターやライター・編集者、プレイヤーによるRPG の領有・我有化(Appropriation)過程を、文学社会学やゲーム研究の枠組みを参照して再構築し、JRPG 研究の基盤を提示する。
  • 尾鼻 崇, 毛利 仁美
    p. 119-124
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/10/20
    会議録・要旨集 オープンアクセス
    本研究は、デジタルゲームに付属する取扱説明書を、ゲーム本体(テキスト)に対する「パラテクスト」と位置づけ、その歴史的変容を分析する。特に、プレイヤーにゲームの遊び方を教示する「チュートリアル機能」に着目し、この機能が技術的進化とデザイン思想の変遷に伴い、いかにして紙媒体の取扱説明書からゲームソフトウェア内部へと「移行」していったかを実証的に考察する。この分析は、取扱説明書の役割の変化を単なる「衰退」としてではなく、ゲームデザイン史における重要な機能的移行の過程を記録した歴史的指標として再評価するものである。本研究を通じて、取扱説明書のデジタルアーカイブが持つ資料的価値を具体的に示し、ゲーム研究における新たな視座を提起する。
  • - アーカイブアクセスデーにおける質問票調査から -
    毛利 仁美, 福田 一史, シン ジュヒョン
    p. 125-130
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/10/20
    会議録・要旨集 オープンアクセス
    ビデオゲームアーカイブ研究では、収集・保存に関する研究は進んでいる一方で、実際の利用提供に関する実証的研究は少ない。本研究では、立命館大学ゲーム研究センターにて、学生・教職員を対象とした資料閲覧・ゲームプレイサービスを提供し、利用者ニーズを調査した。過去の予備調査で得られた知見を基にコミュニケーションの発生、レトロゲームの興味、長時間滞在についての仮説を設定し、2024 年度に質問票調査と行動観察、回帰分析を実施した。その結果、利用者とゲーム経験豊富なスタッフとのコミュニケーションが特に発生しやすいこと、利用者はレトロゲームについての情報を友人や実況動画から得たり、最新のゲームよりもレトロゲームの利用を希望することがわかった。また、滞在時間に影響を与える要因として、所属キャンパス、学年、レトロゲーム利用経験などが有意であることが明らかになり、レトロゲームへの関心の質的な差異も利用行動に影響を与えることが示唆された。
  • 日高 良祐
    p. 131-134
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/10/20
    会議録・要旨集 オープンアクセス
    本発表はゲーム機内蔵音源の音に焦点化した音楽文化である「チップチューン」を取り上げる。その上で、メディア研究の観点からチップチューンを考察する際に浮上する論点の整理と紹介を通し、なぜメディア研究の対象としてチップチューンを捉える意義があるのかについて主張する。その際、「メディア技術史」のフレームを用いることで、科学技術社会論、文化研究、メディア考古学といった近接領域の知見を踏まえながら議論を進める。
ゲーム関連技術1(セッション8)
  • 八木 亮太, 福田 弘和
    p. 135-138
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/10/20
    会議録・要旨集 オープンアクセス
    近年、実在データに基づいたデジタル空間での農業シミュレーションとして農業デジタルツインの開発が求められている。農業デジタルツインの実現には現実の植物をリアルな3D モデルとしてデジタル空間に取り込み、3D シミュレーションによって解析する必要がある。またデジタル空間において、植物の複雑な三次元形状に対するインタラクションを農業従事者の操作によって実現できる必要がある。よって基盤技術として、ゲームUI を用いて生体情報を扱う汎用的な植物3D シミュレータの開発が必要である。本研究ではUnreal Engine により写実的な植物点群3D モデルを描画し、各点に概日時計を実装したフォトリアリスティック自律点群植物モデルを構築し、ゲームUI により植物モデルへの複雑環境入力や点群ラベリングを行う植物3D シミュレータを開発した。
  • 木下 雄詞, 渡辺 大地
    p. 139-143
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/10/20
    会議録・要旨集 オープンアクセス
    ゲームAI において、経路探索は非常に重要な技術の一つである。特にキャラクターの追跡行動においては、追跡対象の位置が常に変化するため、最短経路を繰り返し再計算する必要があり、処理速度が課題となる。従来広く用いられているダイクストラ法は、目的地が変わるたびにグラフ全体を探索する必要があり、動的な環境下では計算コストが高くなるという問題がある。本研究では、粘菌アルゴリズムに着目し、これを動的経路探索に応用する手法を提案する。粘菌アルゴリズムは、ネットワーク内のノード間を流れる流量と圧力の関係を連立一次方程式として定式化し、その解をもとに経路の優先度を決定する手法である。提案手法では、始点や終点の接続構造が変化した場合にのみ連立方程式を再構築し、それ以外のフレームでは既存の構造を再利用することで、再探索処理の高速化を図った。複数のマップを用いた検証実験の結果、提案手法は小規模から中規模のマップにおいて、従来のダイクストラ法よりも短時間で経路の再探索が可能であることが確認できた。
  • - API 連携を用いた現状の可視化の取り組み -
    平松 燿, 赤坂 優太, 山下 恭平, 杉浦 一徳
    p. 144-149
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/10/20
    会議録・要旨集 オープンアクセス
    e スポーツ領域において適切なマネジメント環境は未だ十分に確立されていない。本研究では、e スポーツが情報を扱うスポーツであるという特性に着目し、API を活用してゲームプレイデータおよび睡眠データを自動取得・可視化するマネジメントシステムを設計・実装した。本システムは選手および管理者の双方が活用できるデータの可視化環境を構築した。また継続的かつ定量的なデータ収集を可能とする情報収集基盤としても機能する可能性が示唆された。
ゲーミフィケーション2(セッション9)
  • 探究型学習に基づく授業デザインとゲーミフィケーションの活用
    岸本 好弘
    p. 150-153
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/10/20
    会議録・要旨集 オープンアクセス
    本発表では、ゲーム専門学校高等部における授業実践の一環として行われた「ゲーム7 つの謎」活動の5 年間の展開を報告する。本活動は、講義中心の授業の中で約1/4 を占める探究的な学習パートとして位置づけられ、生徒が問いを立て、調べ、考え、発表・共有することで学びを深めていくものである。大学の授業でも同様の活動を導入しており、年齢差による高等部との効果の差異についても紹介する。ゲーミフィケーションの活用により主体性・メタ認知・協働的学びを促進している。
  • 田川 歩, 小暮 悟, 横原 昇司, 白井 靖人
    p. 154-159
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/10/20
    会議録・要旨集 オープンアクセス
    ゲーミフィケーションの教育分野での研究の多くは教材やアプリの開発、それらを含むソフトウェアを利用した大学授業での実践研究であり、授業のデザインにゲーミフィケーションを導入した事例は限られている。本論文ではプログラミングツール以外のソフトウェアを利用しないゲーミフィケーションを導入したプログラミング授業を中学生向けに実施することで、ゲームデザイン要素ごとの効果の検証と授業デザイン案の検討を行った。導入可能なゲームデザイン要素を検討したうえで授業の内容とデザインを決め、授業後アンケートとインタビューにより調査を行った。その結果プログレスバーの導入には賛否が分かれること、質問に対する即時フィードバックの満足度と効果が高いことが明らかになった。
  • 〜個人特化型ゲーミフィケーションを用いた質問促進に向けて〜
    細川 北斗, 橋山 智訓
    p. 160-165
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/10/20
    会議録・要旨集 オープンアクセス
    「知識・技能」,「思考力・判断力・表現力等」,「学びに向かう力、人間性等」の3 つを文部科学省は育成すべき資質・能力として挙げている.これらの能力は質問を通じて育成できる.しかし,質問行為には心理的障害があるのが実態である.本研究では質問行為への動機づけとして個人に特化させたゲーミフィケーションを適用する.本稿ではプレイヤタイプとゲーム要素の好みの関係を調べた.その結果,推定されたプレイヤタイプからゲーム要素を提示するのに適切なプレイヤタイプは5 Player Traits Model だとわかった.
ゲーム関連技術2(セッション10)
  • 岡田 大和, 鯨井 政祐
    p. 166-169
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/10/20
    会議録・要旨集 オープンアクセス
    円形のディスプレイ自身を単体で転がせるようにすることで,転がすと表示内容が変わることを楽しむことができる装置を開発した。装置の構造として,円形ディスプレイ背面にRaspberry Pi,専用設計したプリント基板,加速度センサ,Li-Po バッテリ等を配置した。これらを3D プリンタによる円筒状筐体で覆うことで車輪状の外観としている。この装置に表示するアプリはC++およびSiv3D を用いて実装できる。今回はその一例として「水が半分入っているように表示され,転がしても水面が水平に保たれる」というアプリを報告する。
  • 三宅 陽一郎
    p. 170-173
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/10/20
    会議録・要旨集 オープンアクセス
    キャラクターの意思決定のエージェント・アーキテクチャは言語チェンネルと刺激チャンネルを持つ。刺激チャンネルが持つ世界は環世界であり、環世界をベースにしたキャラクターAI の作り方が可能となる。またそのような刺激の世界は神経回路の世界でもあり、キャラクターAI はニューラルネットワーク・ベースで構築されることになる。本研究はグリッドベースの世界の上でニューラルネットワーク・ベースで動作する味方キャラクターと、ルールベースの敵キャラクターの対戦を通して、味方キャラクターの環世界の構築を目指す。具体的には敵キャラクターの身体部位に環世界で言うところの作用担体となる部分を持たせ、そこに味方キャラクターが引き付けられる、また、攻撃する、という動作を実現する。このような実験によって環世界によるキャラクターAI の設計と実装を示す。
  • 塩路 彩夏, 川島 基展, 三上 浩司
    p. 174-179
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/10/20
    会議録・要旨集 オープンアクセス
    ビデオゲームにおける背景表現では、通常三点透視による正確なパース表現が用いられる。しかし、トゥーンレンダリングを用いる作品では、この立体的な背景描写が背景の動きを過剰に強調し、背景の情報量がトゥーンレンダリングを用いている部分に対し多くなり、画面全体の調和を損なうという問題が生じる。一方、アニメの背景は、手描きのような質感や色調を持たせ、陰影や描写密度を調節することで、キャラクターが目立つような画面設計を行っている。さらに、各カメラワークに応じた適切な撮影処理を施すことで、キャラクターの動きをより効果的に伝えている。本研究では、3D 空間においてもアニメの撮影技法に基づいた背景描写を実現する手法を提案する。アニメと同等の背景美術を活用し、それに対しアニメの撮影技法を3D で再現する処理を行うことで、アニメと同水準の背景表現を可能とする。
DX、ゲームエクスペリエンス(セッション11)
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