抄録
従来のゲームスタディーズにおいて、ビデオゲームは「ルール」と「フィクション」が重なり合ったものとして捉えられ、その理論は今なお有効性を持った枠組みとして適用されている。この二分法の中で、虚構世界内の出来事の時間である「虚構時間」は、ルールの制約によって断絶を余儀なくされるものとして論じられてきた。これを踏まえて、本研究では、『グノーシア』におけるメタゲーム性がもたらす「ルール」と「フィクション」の一致を、ブリッタ・ナイツェルが提唱した「ルールの虚構化」という枠組みから捉え、テクスト分析と構造分析の手法を用いて分析する。この分析を通して、「ルール」と「フィクション」の不一致がもたらす「虚構時間」の断絶性を「ルールの虚構化」によって詐術的に超越しうる可能性について明らかにし、その要因としてビデオゲームとしてのインタラクティビティの存在を示唆する。