道南医学会ジャーナル
Online ISSN : 2433-667X
当院で妊婦健診・分娩を行っている八雲町及び周辺地域の出生数減少に対する検討
白銀 透斉藤 洋
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2020 年 3 巻 1 号 p. 5-10

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抄録

【緒言】近年、少子化により出生数が減少しているが、当院でも減少の一途をたどっている。今回、八雲町と周辺町村の出生数の減少傾向について調査、検討した。【対象】当院で妊婦健診や分娩を行っている北渡島・桧山地方(八雲町、長万部町、せたな町、今金町)と後志西部(寿都町、黒松内町、島牧村)の町村。【方法】内閣府、総務省、厚生労働省のデータを利用。日本、北海道、八雲町、合算地域(八雲町を含む上記地域の合算)に対し、以下の1)~7)の項目について2000年、2015年のデータ及び2045年の予測値を調べ、検討した。1)総人口、2)老年人口(65歳以上)、3)年少人口(15歳未満)、4)出産子育て世代人口(20-39歳)、5)出生数、6)人口千人当たりの出生数、7)子育て世代人口千人当たりの出生数。【結果】都市部を含まない当地域は日本や北海道全体に比べ、人口減少は顕著であった。また、人口構成においても、老年人口の増加、年少人口の減少や出産子育て世代人口の減少は顕著であった。出生数や人口千人当たりの出生数も大きく減少していたが、特殊合計出生率の代わりに用いた出産子育て世代千人当たりの出生数の値には大きな差が無かったため、過疎高齢化及び出産子育て世代の減少による影響が大きいと考えられた。【結論】出生数減少を抑制するには、出産子育て世代の確保が重要であると思われた。【結語】出産子育て世代人口の減少は、年少人口の減少もあり、今後、全国的に進行する。それは人口流出の影響もあり、地方でより顕著となる。出産子育て世代人口の確保は重要な政策となる。また、小児科、産婦人科の無くなった地域は出産子育て世代が離脱し、地域消滅のリスクが増加する。北海道は広大なため、産婦人科としては、効率化のみを重視せず、小児科と共に分娩数の多少のかかわらず、地域ごとに周産期施設の存続に努める必要があると思われた。

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