道南医学会ジャーナル
Online ISSN : 2433-667X
道南地域における地域アンチバイオグラム作成の取り組み
櫻田 穣角 洋彰﨑本 裕治加藤 由美子斎藤 裕一太田 奈々木村 繭埜畑 有子榎波 洋子中島 菊雄酒井 好幸
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2020 年 3 巻 1 号 p. 11-17

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抄録
【目的】感染症の初期治療において、アンチバイオグラムは有用である。規模の大きな医療機関では積極的に活用されており、全国的に見ても広域スペクトラム抗菌注射剤の耐性率は減少傾向にある。しかし、アンチバイオグラムを作成できない施設や自施設のみのデータでは検体数が少なく活用できない施設があるのが現状である。また、経口抗菌薬は、その多くが外来にて処方されるため、適正使用については診療所などを含め、地域で取り組む必要がある。しかし道南地域には各医療機関が参考にできるアンチバイオグラムは作成されていなかった。そこで、道南地域の感染防止対策加算算定施設が中心となり、感染対策連携共通プラットフォーム(J-SIPHE)の機能を利用して、地域アンチバイオグラムを作成し公開したので、その取り組みについて報告する。 【方法】感染防止対策加算1算定施設と、厚生労働省院内感染対策サーベイランス事業の検査部門へ参加中の加算2算定施設に、地域アンチバイオグラム作成に関して目的・方法などを説明し参加を依頼した。賛同を得られた4施設で、J-SIPHE北海道道南地域連携グループを設置した。J-SIPHEの還元情報機能を使用し、アンチバイオグラムを作成した。 【結果】アンチバイオグラムデータは、参加施設に電子メールにて提供し、また市立函館病院のホームページにて一般公開し、常時入手可能となった。 【結論】地域アンチバイオグラムを作成・公開することはできたが、まだ参加施設は少なく、周知も不十分である。今後は、参加施設の増加と、地域での認知度向上に努め、抗菌薬適正使用に貢献し、薬剤感受性の向上につなげていきたい。
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© 2020 道南医学会
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