道南医学会ジャーナル
Online ISSN : 2433-667X
Nivolumabが著効しConversion Surgeryを施行後完全奏効が確認された胃癌の1例
畑中 一映早坂 秀平土田 直央東野 真幸杉浦 諒宮本 秀一木下 賢治伊藤 淳山本 義也成瀬 宏仁久留島 徹大下山 則彦橋野 結子
著者情報
ジャーナル フリー

2020 年 3 巻 1 号 p. 18-22

詳細
抄録
【背景】免疫チェックポイント阻害剤ニボルマブは本邦において2017年9月、胃癌に対し承認された。国際共同第Ⅲ相試験比較試験ATTRACTION-2のアップデート解析では、全生存期間中央値5.3ヵ月、奏効率11.9%と報告され、奏効例(CR+PR)では全生存期間中央値が26.6ヵ月と長期生存が期待できる結果であった。最近では免疫関連有害事象irAEの発現と良好な予後との関連を示唆するレトロスペクティブな検討の報告もみられている。【目的】当科においてニボルマブを投与した胃癌患者の追跡調査・検討を行う。【方法】2017年9月から2019年8月までに投与を行った患者の背景・有害事象・治療効果に関し、レトロスペクティブに調査した。【結果】期間中ニボルマブを投与した症例は22例(男性 15、女性7)。年齢56~79歳、進行14、再発8、原発巣は10例で切除。組織型は分化11、低分化型11、HER2陽性3例。PS 0/1/2が各7例/12例/3例。転移巣は腹膜13、リンパ節10、肝9、副腎2、腹壁1、脳1。3次治療としての投与が14例、4次治療7例、5次治療1例。前治療薬歴では5-FU系、タキサン系、ラムシルマブは全例に使用。プラチナ系21例、イリノテカン4例、トラスツズマブを3例に使用していた。投与回数は2回~39回。画像評価を施行した20例では治療奏効はPR 3例15.0%であった。奏効例3例のPFSと投与回数は23ヵ月/27回、20.5ヵ月/39回、16ヵ月/32回であり、全例治療を継続している。3例のMSI検査では1例high、1例陰性、1例未検であった。奏効3例ではいずれもirAE を認め、Grade2の大腸炎と甲状腺機能低下を各1例、皮膚掻痒症を1例に認めた。1例はpseudo progressionを呈した。【まとめ】当科に於いても既報と同様の胃癌ニボルマブ治療奏効率であり、奏効例では長期間の治療奏効を認めている。
著者関連情報
© 2020 道南医学会
前の記事 次の記事
feedback
Top