道南医学会ジャーナル
Online ISSN : 2433-667X
腹部超音波検査を用いた便秘の画像評価
津田 桃子加藤 元嗣小野寺 友幸松田 宗一郎久保 公利間部 克裕
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2020 年 3 巻 1 号 p. 31-35

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抄録
【背景と目的】医学的に便秘とは,「本来体外に排出すべき糞便を十分量かつ快適に排出できない状態」と定義される.便秘に伴う症状は排便回数減少,排便困難,残便感など様々である一方,排出すべき便がない場合は「便秘」ではない.本検討では,便秘を訴える患者に対する腹部超音波検査を用いた便秘の画像評価について検討した. 【方法】2019年5月から当院便秘外来を受診した患者のうち,便秘治療介入前に腹部レントゲン検査,CT検査,腹部超音波検査を施行した24症例について検討した.腹部レントゲン検査は臥位で,CT検査は単純CT検査で,腹部超音波検査は腸管観察を中心に背臥位で3.5MHzのプローブを用いて評価した.①患者背景,②画像評価における便秘の有無,③腹部レントゲン検査,CT検査,腹部超音波所見における便局在部位評価の比較を検討した. 【結果】結果①平均年齢71±17歳,性別男性4:女性20,13症例(54.2%)で腹部手術の既往があり,19症例(79.2%)で過去に市販薬を含む便秘内服薬使用の既往があった.11症例(45.8%)がブリストル便形状スケールで1-2(硬便)であり,10症例(41.7%)が3-5(普通便),3症例(12.5%)が6-7(水様便)であった.②すべての症例で画像評価において大腸内に便が存在し「便秘」と評価できた.③便の局在部位はCT検査,腹部超音波検査において22例(91.7%)で一致していた.一致しなかった2例(8.3%)は1例が排尿後のため直腸病変の描出ができず、局在が不一致であった.もう1例は腹部手術歴不明で,横行結腸のみしか同定できず評価不十分であった.腹部超音波検査では,他の画像検査と比較し,便性状も評価できる可能性が示唆された. 【結語】腹部超音波検査で便秘を客観的に評価可能であった.非侵襲的で,今後の便秘診断・治療の一助となる検査として有用であると考える.
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