道南医学会ジャーナル
Online ISSN : 2433-667X
疼痛緩和治療を併用した化学療法中にアカシジアとミオクローヌスを発症した肺癌の1例
大沼 法友阿部 千里高井 みゆき山村 二三江伊藤 匡
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2020 年 3 巻 1 号 p. 45-49

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抄録
【はじめに】ミオクローヌスを伴って急速にアカシジアが増悪した症例を経験し、 慢性に経過していた同様の症例に後から気付く機会があり、経過と問題点を考察する。 【事例】症例1、61歳男性。進行期の肺腺癌。骨転移と膵転移による疼痛あり、Fentanyl・4mg/dayを投与しながら抗癌剤治療を継続。掻痒と悪心への対症療法後に「リハビリする」と言い廊下を歩き始めた。ふらつきあり安静を促したが興奮して多動状態が持続。さらに、焦燥と両足を急に屈伸する動作が出現。Flunitrazepam・5mgとDiazepam・10mgを静脈内投与して5時間後に安静に戻った。後日の精神科往診にてアカシジアとミオクローヌスの合併と診断。 症例2、64歳男性。進行期の肺小細胞癌。骨転移と肝転移による疼痛あり、Fentanyl・6mg/dayを投与しながら抗癌剤治療を実施していた。さらに制吐剤、鎮痛剤を頓用して苦痛を緩和。足の不快感を訴えるようになり「歩く方が治る」と深夜早朝に歩き回るようになった。さらに大腿部の不随意運動が安静時に間欠的に出現するようになった。症例1を参照すると、ミオクローヌスを伴ったアカシジアが緩徐に出現した経過であったと推察しうる。 【考察】アカシジアとミオクローヌスが併発し症状が複雑化して診断に苦慮した。経過を見直すと合目的でない行動が前駆症状であったと思われるが、精神的な反応や気分転換と解釈し神経学的診断が後になり、患者様が抱えていた本来の辛さに気付くのが遅れた。化学療法を行う症例への早期からの緩和医療として麻薬製剤を導入し、制吐剤・抗癌剤を反復投与し、抗精神病薬も併用される中で、薬剤の錐体外路作用が重なって神経障害を生じるリスクになったと考えられた。当科では、スタッフ間で典型例の経過を共有し、発症時の対応薬を病棟に常備して同様例の早期発見・対応に努めるようにしている。
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